“怖い食道がん”の自覚症状は、大きく分けて3つです。第1は「食べ物が飲み込みにくい」「食べ物がつかえる」などの通過障害の症状で、がんが食道の内側にできた症状です。第2は、がんが食道の壁の外側にできた症状で、「背中が痛い」「せきが出る」など。第3は、外側でもリンパ節への転移を起こしている症状で、「声がかすれる」などです。食道がんのできたところでの症状が出始めると、その症状は出続けることになります。
第1の場合は、「食べ物がつかえる」症状があっても、ゆっくり進行するので、その症状になれて半年くらい放っておく人が多い。実際に受診した患者さんに「この症状はいつからありましたか?」と聞くと、「半年くらい前から何か引っかかるなー、という気はしていました」と。これでは食道がんは進行してしまうので、最悪は手術もできなくなるケースもあります。
第2は、食道がんにスムーズに結びつきますが、間違われやすいのが第3の場合です。リンパ節への転移でよくでる症状が「声がかすれる」。食道のリンパ節のそばを反回神経が通っています。反回神経は声帯を動かす指令を脳から喉頭に伝える神経です。食道がんがリンパ節に転移してリンパ節が大きくなると反回神経にダメージを与えるのです。すると、反回神経まひが起こり、声がかすれるのです。これに気付いた人の多くは耳鼻咽喉科を受診します。いろいろ調べても何も見つからなくて様子を見るケースが多い。様子を見ていて良くならないので、消化器内科を紹介され、そこで食道がんが見つかることが多いのです。
より早く食道がんを見つけるためにも、「声がかすれる」症状で耳鼻咽喉科を受診して原因が特定できないときは、食道がんも疑って医師に相談すべきです。(医学ジャーナリスト・松井宏夫)

