「食道がん」は、早期には自覚症状がほとんどないので早期発見が難しいがんなのです。そこで、実際に患者さんの体験を紹介します。

60代のA男さんは、ある日“のどに違和感がある”ように感じ、それが数日の間、なんとなく気になったのです。そこで、のどなので耳鼻咽喉科を受診。診察を受けると、医師に「のどに問題はないので、様子を見ましょう」と言われ、様子を見ていました。そして、半年くらい経つと、物を食べたりしたときに“のどに引っかかる”ような感じになってきたのです。受診して医師に話すと、医師は「のどより下、食道なのでは? 消化器内科を紹介しますので診てもらってください」と。耳鼻咽喉科の医師は食道がんを疑っていたのです。

A男さんは紹介状を持って消化器内科を受診すると、内視鏡検査をすることに-。検査の結果、「食道がんです」と医師から伝えられました。この言葉を聞いた時、A男さんはショックでぼうぜんとしました。「どうしてもっと早く食道がんだとわからなかったのか! 半年前に受診していたのに。耳鼻咽喉科の先生がもっと早く気付いてくれていれば-」と、A男さんは強く思いました。

耳鼻咽喉科の医師は患者さんから「のどが変です」と言われると、「患者さんがのどと言っているのだから」と、のどを診ます。のどに違和感があるときは、「食道の症状でも“のどが変”という症状は出ます」。これを一般の方々にもっと知ってもらいたいのです。

そして、食道がんに罹患(りかん)したA男さんは「お酒を飲むとすぐ顔が赤くなるタイプ」でした。このタイプは食道がんのリスクが高いので、十分に注意をしてください。(医学ジャーナリスト・松井宏夫)