「食道がん」の検査が行われて進行度が出ると、「そこで治療法が決定する」と思っている方が多いでしょう。私たちの食道がんセンターでは、その次に「キャンサーボード」を行って、患者さんに最も適した食道がん治療を決め、患者さんに提示しています。キャンサーボードとは消化器外科医だけではなく、消化器内科医、腫瘍内科医、放射線科医、病理医などが参加し、しっかり話し合って患者さんに最適な治療方針を決めていくのです。
たとえば、食道がんのステージ1の患者さんのケース。放射線治療、手術のどちらでも治療成績が同じようであれば、どちらの治療にすべきかで意見が分かれたりすることがあります。患者さんが「放射線治療でもOK」であれば、放射線科医は「放射線でできます」と。これはリンパ節への転移がない、という条件です。そこで、「これは手術する方がより良い」と、外科医の意見が…。それならば、と手術で決定となります。
患者さんの年齢によっても選択が違ってきます。50代、60代の食道がん患者さんとして若い方では「手術」。逆に、80代、90代の高齢の患者さんでは「放射線治療が良い」と。これを外科だけで決めるのではなく、それぞれ違った治療を行っている診療科の医師が集まって意見をしっかり出し合うのがキャンサーボードです。「どうしても手術数を増やしたいから」といったことはありません。みんなが納得して最善の治療を行うためのキャンサーボードですから…。
キャンサーボードで決定した治療法は、患者さんにきちっと説明をします。そして、納得を得て、「今後は外科で診ますとか、腫瘍内科で抗がん薬治療を行いましょう」と話し、治療へと進みます。(医学ジャーナリスト・松井宏夫)

