食道がんに限らず、手術を受ける場合は「病院選び」は重要。とりわけ、手術の難しい食道がんの病院選びは、より重要です。前回に引き続き、今回は「食道がんの病院選び<2>」を紹介します。
食道がんの手術で「“術後の合併症”がどれだけ起きているかを知る」ことが重要です。術後合併症とは、手術後に起こってくる余病のことで、全身麻酔や手術の侵襲・手技が要因となって起こる病態です。食道がんの術後合併症で最も多いのが「反回神経麻痺(まひ)」、次いで多いのが「縫合不全」です。
反回神経麻痺の反回神経は、脳から声帯を動かす指令を伝える神経で、食道や喉頭の両脇を通っています。手術中にリンパ節を取るときに反回神経に触れやすく、片側にマヒを起こすことが多く、片側の声帯が動かなくなりかすれ声になります。リスクは全国平均で20~30%ですが、私たちは3%まで下げることができています。次に多い縫合不全は、胃と食道上部をつないだ時にうまくつながらないことがあります。リスクは全国平均で20%程度ですが、私たちは3%まで下げることができています。
この2つの術後合併症を10%以下に抑えている病院はベストな病院です。患者さんはその点を医師に聞いてください。合併症の数などをきちっと話してくれる医師のいる病院であれば、信頼できます。信頼できる病院は、ホームページに術後合併症の比率データも出しています。そこをしっかりチェックしてください。ただ、食道がんの患者さんの年齢は高いので、ご家族にパソコンで調べてもらって受診される方が多いです。大腸がん、胃がんはそこまでする必要のない普通の疾患になっていますが、食道がんの手術は、1歩間違えると命を落とすことも-。しっかり調べ、手術を受ける病院を決めるのが重要です。(医学ジャーナリスト・松井宏夫)

