食道がんの治療は手術が基本ですが、今「化学放射線療法」も注目されています。

それには、2つのポイントとなる選択肢があります。第1は、「ステージ1の場合、最初から化学放射線療法を選択する」。第2は、「手術が適応にならない進行した状態で、化学放射線療法で効果が出た場合は次を考える」。ここを紹介します。

第1の場合は、手術と化学放射線療法では“治療成績に違いがない”ということが報告されているので、ステージ1では初めから化学放射線療法を選択する患者さんも出てきています。食道がんの90%は食道の表面の「粘膜上皮(扁平=へんぺい=上皮)」にできる扁平上皮がん。この扁平上皮がんは抗がん薬の有効性が高いのみならず、放射線の感受性も良いのです。もちろん、食道がんを超早期に発見する必要があります。

第2の場合は、手術ができないステージ4の食道がんです。この場合も化学放射線療法が選択されます。これは、化学放射線療法でがんの状態が良くなると手術に持っていけるからです。たとえば、気管とか大動脈とか他の臓器にがんが浸潤していたが、化学放射線療法で気管や血管に行っていたがんが消えていた。この場合も、食道を全摘(食道亜全摘)し、リンパ節も一緒に取ってしまいます。もちろん、取らない場合もあります。もともとがステージ4ですから。手術ができるとなると最も予後が良くなります。

この第2の次の段階としての治療も紹介します。それは、患者さんがかなり高齢で手術に耐えられない。加えて、腎機能が悪くて抗がん薬での治療が難しい場合です。この時は「放射線療法」だけで治療をする選択肢もあります。これは完治を目指すのではなく、食事ができて少しでも延命ができれば…というための治療。延命というより、なるべく食事をしながら自宅にいる時間を少しでも長く作ってあげるための選択肢です。(医学ジャーナリスト・松井宏夫)