先日行われたノルディックスキーの大会で、小林陵侑選手が4連覇を成し遂げたというニュースがありました。王者の貫禄ともいえる圧倒的な数字もさることながら、世間の注目を集めたのは、にっこり笑った小林選手の口元でした。彼が歯に装着していたのは「グリルズ」という装飾品で、1980年代にアメリカ・ニューヨークのヒップホップシーンで流行、ラッパーがステータスシンボルとしてつけ始めたことから世界中に広まりました。

富の象徴としてアピールする意味合いを持ち、素材はゴールド(主に18K)やホワイトゴールド、プラチナといった貴金属が一般的、ダイヤやルビーといった宝石が埋め込まれた豪華版も人気のようです。他人から見えやすい前歯にかぶせる形で作られており、小林選手のように上だけでも十分目立ちますが、上下どちらも作るという強者もいます。マウスピースのように取り外し可能な形態で、必要な時だけ装着する点はお手入れの観点からも安心です。個性を表現するパーツとしての口元の価値を、ある意味最大限に活用したパフォーマンスだなと、記事に載っている小林選手の笑顔を眺めながらしみじみ考えました。

歯のジュエリー文化の起源は、古代マヤ文明までさかのぼります。前歯に小さな穴を開け、翡翠(ひすい)やターコイズを埋め込んだ装飾は、神聖さや身分をあらわすシンボルだったそうです。現代でも、小さなスワロフスキーや宝石の粒を歯の表面に固定する「トゥースジェム」という技術があります。表面を削らずに専用の接着剤でつけるだけなので、歯を傷める心配は少なく、飽きたら外してまた違うものと交換できる点もアクセサリー感覚で人気です。身近で見る機会は少ないかもしれませんが、どんな装飾であっても土台の歯が健康であることが大前提です。オーラルケアの動機づけには良い流行だと思っています。