【夏場所こぼれ話 9日目~千秋楽】国技館カレーはおかわりしていいのか?
2026年の大相撲夏場所は、小結若隆景の25場所ぶり優勝で幕を閉じました。
2横綱2大関が休場するなど、波乱の場所でもありました。
当欄では、取材の裏側などを「こぼれ話」としてお伝えします。
9日目から千秋楽までの「後編」です。
大相撲
森永賞の中身
9日目
相撲博物館でのトークショーは、呼び出しの克之さんと重夫さん。「呼び上げしにくかった四股名は?」の質問に、克之さんは「花籠部屋の兄弟子、八紘錦(はっこうにしき)が一番きつかった。長くて…」。
この時、重夫さんは答えずに進行してしまったため、後日確認した。「最近だと藤青雲。オレらは『ん』を発声する時、『う』と『ん』の間を出す。藤青雲の場合、『ん』の前が『う』だからやりづらい。この前、初めてやってやりづらかった。早口だといいにくい若隆景は、呼び上げはゆっくりだから、むしろ言いやすい」。
喉のケアについての話題に及び、呼び出しさんの控え室では、アメが入った缶を常備しているという。大吉さんは邪払のど飴を愛用。イベント後、呼び出しさんの控え室に行って、写真を撮らせてもらった。
森永賞でもらった賞品を、宇良関が帰り際、子供たちに配っていた。という動画をSNSで見かけた。森永賞の担当者に確認すると、森永賞を獲得した幕内力士には、その翌日に森永製菓商品をプレゼントしているという。何が入っているのか。時期によって変わることもあるようだが、今回は森永ミルクキャラメル10個とハイチュウ12個。
後日、宇良関に確認すると森永賞の獲得は今場所が初めて。今場所は上位に休場者が多く、森永賞の取組が上位戦に限らず、ばらけていた。
国技館カレーの謎
10日目
親方トークショーは、北陣親方(元小結遠藤)が登場。来場者から事前に受け付けた質問に答えていった。「尊敬する力士は?」との問いには、3代目横綱若乃花を挙げた。「近代的な相撲を見て、一番相撲が上手な方と感じていました。動画を見て研究していました。中に入ってからの崩し、バランスの取り方がすごいなと思っていました。曙、武蔵丸、規格外の横綱と対等にあの体で、おっつけて残して勝ちにつなげるのは考えられない。それだけ技術、スキルが備わっていたのかなと思います」。安青錦関も若隆景関も同じようなことを言っている。今度、花田虎上さんに会った時は、ぜひ伝えたい話だった。
やりにくかった相手には阿炎関、注目している力士にはまず丹治さんの名を挙げていた。部屋や一門を問わず、親方衆から丹治さんの名前はよく挙がってくる。
ほかに面白かった話を箇条書きで。
・断髪後の髪型は「和装に合う髪型がいいんじゃないかと思います」。
・乗りたい車はフェラーリ。「あくまであこがれだけで、実現しないと思います」。
・好きな食べ物は、祖父が養殖していたカキ。このわた、なまこ。
昼食は、国技館内の食堂でカレーライス。これこそ、教習所に通う力士たちも食べている「国技館カレー」だ。この食堂で提供されるのは日替わりの1種類のみだが、本場所の15日間のうちカレーライスは4日間も出てくる人気のメニューでもある。
数日前、食堂を利用したことがないというK新聞のK記者に、食券を買う場所や、定食の白飯やみそ汁はおかわり自由であることを教えてあげた。彼は大盛ご飯を2杯も3杯も食べる。この日は、カレーライスだったので、「ルーはおかわりできないから、ご飯は最初の1杯を多めに盛った方がいい。ご飯の量に合わせてルーをかけてくれるから。ご飯をおかわりしてルーをかけてもらえなかったら、白飯だけで食べるはめになるから気をつけて」なんて、レクチャーしてしまった。
カレーライスを食べて帰ろうとすると、なんと振分親方(元関脇妙義龍)が皿にご飯を持って、ルーをおかわりしているではないか。えっ、ルーもおかわりできるのか-。ちょっと驚き、食堂を後にした。
数時間後、支度部屋の前で振分親方に会った。ルーをおかわりできるなんて知りませんでしたよ。親方は「え、そうなん? おかわりしていいのはオレらだけかな? ま、国技館にはカレーを食べに来てますから」と国技館カレーへの愛を口にしていた。
ルーをおかわりできるのか、できないのか。記者クラブに戻り、春日山親方(元関脇)にも聞いた。おかわりできるのは、ご飯とみそ汁だけだと思ってましたよ。カレーのおかわりは当然だと思っていたという親方は「ルーは、汁物って扱いなんじゃないですか?」と、みそ汁と同義であるという汁物理論を展開した。
K記者には「偉そうに言ってごめん。カレーライスはおかわりできるらしい」と謝罪した。するとK記者から「え、そうなんですか。少ないルーを大事にしながら、ご飯を食べちゃいましたよ」とごく軽めの抗議を受けた。
あす、食堂で真偽を確かめてみる必要がありそうだ。
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1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。
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