ADA(米国歯科医師会)やFDI(国際歯科連盟)ではマウスガード(スポーツ用マウスプロテクター)のガイドラインが設けられています。ADAによると、適切に装着されたマウスガードはスポーツおよびレクリエーション活動中の口腔(こうくう)外傷の発生率や重症度を軽減するために推奨される保護具であり、衝突や高速性のスポーツにおいてその効果が顕著だと記されています。
ADAの統計では外傷リスクが60~90%減少したとの報告もあり、装着によって大切な歯が守られることは間違いありません。もっとも外傷リスクの高い場所(通常は上顎歯列)をきちんと覆い、弾力性のある保護面を設け、唇や頬といった軟部組織を守るために適切な保持力を備えていることがマウスガードの大事な要件です。
FDIでは、マウスガードがスポーツ中の口腔(こうくう)外傷に対して、最も有効な保護手段のひとつと表現されています。コンタクトスポーツなど衝突の危険性にあるスポーツに参加する際はすべての年代で装着、特に永久歯の上顎前歯が生えてきた頃(6~7歳前後)から早期に着用する必要があるそうです。歯科医療従事者が利用者に対し、マウスガードの選択や使用法、ケア方法について導くことが重要だとし、特性についても細かく明記されています。
注目すべきはカスタムメイドタイプ(歯科医による診察を経た個別製作のマウスガード)が最も推奨されている点です。自分で自分の口に材料を入れるというのは私たち歯科医療従事者でもなかなか難しい行為です。なんとなくサイズを選び、お湯で温めて歯型に合わせるといった市販品では安全性が担保できない理由は、厚みが一定でなかったり、うまく歯列にフィットしないことで逆に口の健康を損ねる可能性があるからです。日本でもJSSD(日本スポーツ歯科医学会)という学術団体が同様の発信をしています。

