誤嚥(ごえん)性肺炎は高齢者に起こりやすいが、比較的若い世代も油断は禁物だ。50代でも年間約300人が命を落としている(厚労省2024年「人口動態統計」)。60代は1000人以上、70代は約8000人と、加齢に伴い誤嚥性肺炎の亡くなる人は急増するが、高齢者でなければ安心とはいいがたい。
「健康な若い人でも、就寝中、知らぬ間に唾液を誤嚥していることがあります。口の中には雑菌が多いため、唾液と一緒に雑菌を誤嚥することで肺炎を発症することがあります」と、公益財団法人結核予防会 複十字病院呼吸ケアリハビリセンター副センター長の菅原玲子医師は警鐘を鳴らす。
しっかり歯みがきをしているつもりでも、歯と歯ぐきの間には、歯周病菌などが潜む。寝ているときに口を開けてイビキをかくような状態では、空気中のウイルスや細菌なども口の中へ。それらの微生物が唾液に混じり、気道のふたの役割の喉頭蓋(こうとうがい)が緩んだすきに気道へと入り込む。微生物交じりの唾液は、無意識の反射的なせきで排出できればよいが、うまくいかないと肺へ微生物が到達。過度なストレスや過労で免疫力が低下していれば、微生物が増殖して肺炎に…。
「睡眠薬を飲んでいたり、深酒をしたり、たくさん食べてすぐに横になったりすると、寝ている間の誤嚥を起こしやすくなります。また、オーラルケアも大切です。食後の歯みがきはもちろんのこと、定期的に歯科で口の中のケアをしてもらうことも重要です」(菅原医師)
入れ歯の手入れを怠って誤嚥性肺炎を繰り返した人もいる。オーラルケアは肺を守るためにも大切と心得たい。

