ワールドシリーズ制覇27度の強豪ヤンキースが、今季は連敗続きで開幕から低迷を続けている。5月に入った時点でチーム打率、OPS、得点がいずれもリーグワーストかワースト2位で、投手陣はエースの田中将大が孤軍奮闘しているものの、打線の援護が得られず、なかなか勝利につながらない。4月下旬のボストン遠征で宿命のライバル・レッドソックスに3戦全敗したときには、今季就任したばかりのアラン・コックレル打撃コーチがニューヨークの報道陣に囲まれ、打てない打線について質問攻めにあう一幕もあった。
シーズン序盤でつまずいたヤンキースは今後どうすべきか。ニューヨークのメディアはそんな提言をさかんに書き立てているが、その中で多く語られているのが「05年の再現」だ。その年、開幕スタートにつまずいたヤンキースは5月1日時点で10勝15敗と大きく負け越し。その数日後、球団は3Aにいたロビンソン・カノ内野手をメジャーに初昇格させて二塁レギュラーで起用し、王建民投手も初昇格させて先発ローテに入れ、肩の衰えが顕著だったバーニー・ウィリアムズを中堅からDHに、代わってメジャー3年目だった松井秀喜氏を左翼から中堅に移し、ベテランのトニー・ウォマックを二塁から左翼にコンバートするなどの思い切った大なたを振るった。記録を見ると、5月3日か約1カ月間、松井氏がほぼセンターを守っている。当時、松井氏は「(巨人時代に)やっていたから」と突然のポジションスイッチにも動じることなく淡々と対応していたと記憶しているが、大胆なチーム改革はずいぶん騒がれた。これが功を奏し、05年のヤンキースは最終的に95勝67敗で地区優勝を果たし、松井氏も自己ベストの打率3割5厘、116打点を記録して大きく貢献している。
そんな「05年の再現」は起こるのか。5月初旬に6連敗した後、ジラルディ監督は「私はこのチームを信じている。彼らには過去の実績がある。今は不振でも、1試合に5得点くらい重ねる力を持っている」とチーム大改革には否定的な発言をしている。だが、しかし、このまま低迷を続けることができないのがヤンキースというチームである。
【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)



