18年のメジャーはレッドソックスが5年ぶりにワールドシリーズを制した。レッドソックスのコーラ監督の選手起用は、実に柔軟だった。26日(日本時間27日)の第3戦。第4戦の先発投手として発表されていたイオバルディを延長12回から起用した。18回の先頭打者まで6イニングを投げきった。ある米国人記者によれば「ワールドシリーズではあり得ることだけど、普通ではないね」と、珍しい投手起用だったという。

次戦の先発投手を当日の試合で起用。予告先発制度に疑問を感じた。メジャーリーグ機構(MLB)の関係者によれば「何日前、何時間前までに予告先発を伝えないといけないという、明確なルールはない」と明かした。なら極端に言えば、試合開始の10分前でも可能なのか。「可能だが、そんなことはまず起こらない」と首を横に振った。

通常、試合開始の3、4時間前までにはその日の先発投手とスターティングメンバーが両軍から伝えられる。同氏によれば、それはお互いの「Courtesy」だという。「Courtesy」の意味を調べると、礼儀や好意にあたる。要するに、“正々堂々と戦う”ということなのだろう。

予告された先発投手が左腕なら右打者を並べ、右腕なら左打者のオーダーを準備できる。だが今季、こんなこともあった。ドジャースとブルワーズのナ・リーグ優勝決定シリーズ第5戦、ブルワーズは左腕マイリーが先発したが、打者1人で降板。すぐに右投手に代わった。“正々堂々”なのかは疑問だが、左腕には右打者を並べる傾向の強いドジャースに対する戦略の1つだった。

レギュラーシーズンでは今季、レイズがオープナー(救援投手が2、3イニング投げ、その後もリリーフ陣でつなぐ)という戦い方を積極的に使った。資金が少なく、先発不足の球団が、資金豊富で強力先発陣を要する球団に勝つための策という見方もある。いずれにしても、メジャーで新しい野球の形が続々と表れている。次はどんな驚くことが起きるか、来季も注目したい。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)