日本球界からメジャー移籍を目指していた大物2人、西武今井達也投手と巨人岡本和真内野手の移籍先が決まりました。何と今井がアストロズ、岡本がブルージェイズと、ともに予想外のチーム。とは言え、いずれも「打倒ドジャース」に燃える強豪チームです。
アストロズは2017年以降、8年連続でプレーオフに出場していた常勝軍団です。17年にはワールドシリーズでドジャースを破り、球団史上初の世界一になりました。その後、球史に残る「サイン盗み事件」という汚点を与えましたが、「ドジャースを倒したい」と言う今井にとって格好のチームと言えます。
アストロズが本拠を置くテキサス州と言えば、史上最高の速球投手ノーラン・ライアンをはじめ、「ロケット」の異名を持つロジャー・クレメンスら、幾多の奪三振投手を輩出。バッターに真っ向勝負で挑むピッチングを好む土地柄だけに、24年パ・リーグ奪三振王の今井にとって、まさにうってつけのチームでもあります。
新天地で今井の背番号は「45」に決定しました。本拠地ヒューストンには州間高速道路45号線、略称「I-45」が通り、今井の頭文字と背番号にピッタリ。また、1962年の球団創設当初は「コルト45S」という名称。過去の歴史を思い起こさせる番号でもあります。
今井の投球について、ジョー・エスパダ監督は「特にスプリットを高く評価」とコメントしました。思えば80年代アストロズは、エースのマイク・スコットが魔球スプリットフィンガードファストボールで一世を風靡(ふうび)。86年に日米野球で来日し、日本に「SFF」旋風を巻き起こした、思い入れのある球種です。
一方、ブルージェイズはご存じの通り、昨年ワールドシリーズで惜しくもドジャースに敗れたものの、32年ぶりのリーグ優勝。オフにはパドレスからFAのディラン・シース投手獲得など、積極的な補強を施し、今年こそ世界一にと闘志を燃やしています。
ブルージェイズが岡本との契約で、まず目を引いたのが4年総額6000万ドル(約93億円)という金額。なぜなら、トロントは通称「The 6ix」(シックス)。98年に現在のトロント市へと合併された6つの自治体や市外局番(416、617)に由来し、ラッパーのドレイクが広めたものです。23年12月にドジャースが大谷翔平投手と背番号「17」にちなんで10年7億ドルで契約したように、米球界の人たちは何かと数字にこだわるからです。
それと岡本の新背番号「7」は、カナダ国民にとって栄光の背番号です。なぜなら、カナダの国技であるアイスホッケーの北米プロリーグNHLで、地元のトロント・メープルリーフスはじめ、モントリオール・カナディアンズ、エドモントン・オイラーズがいずれも背番号「7」を永久欠番にしているからです。
また、ブルージェイズには「OK Blue Jays」という応援歌があります。本拠地ロジャーズセンターで7回表終了後のセブンスイニングストレッチになると、観客全員が総立ちで「OK、OK…」と大合唱。岡本は名字が「OK」というつづりで始まる球団史上初の選手だけに、大いに盛り上がること請け合いです。
とにかく、今井は何度も「ワールドチャンピオン」という言葉を口にし、岡本も入団会見で「世界一を持って帰る」と抱負を語っていただけに、ワールドシリーズ3連覇を目指すドジャース大谷との対決が楽しみです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




