今回はドジャース大谷翔平投手(32)が輝いた「オールスター両リーグ最多得票」が、どれだけ価値があるものかをお伝えします。

アメリカ建国250周年を祝うため、7月14日(日本時間15日)に建国ゆかりの地フィラデルフィアで開催される第96回オールスターゲーム。既にドジャース大谷翔平投手はファン投票による1次投票で334万1257票を集め、自身初となる両リーグ最多得票での選出と先発出場を決めています。

大リーグでオールスターゲームのファン投票はしばらく廃止されていましたが、1970年、当時のボウイ・キューン・コミッショナーによって再開されました。その年から2年連続で本塁打王ハンク・アーロン(ブレーブス)が両リーグ最多得票を獲得。これが最多得票者をたたえる、いわゆる「トップボートゲッター」の始まりです。

以来、それぞれの時代で球界を代表するスーパースターが、両リーグ最多得票を獲得してきました。70年代はア・リーグ首位打者7回のロッド・カルー(ツインズなど)が4度も最多得票となり、90年代には人気者のケン・グリフィー(マリナーズ)が4年連続を含む5度も最多得票を記録。特に94年は史上最多の607万9688票も集め、大きな話題となりました。

21世紀になると、01年に日本選手で初めてイチロー(マリナーズ)が最多得票を獲得。以来、3年連続で両リーグ最多得票となり、03年にシカゴで行われたオールスター戦前の表彰では地元の名物アナウンサーだったハリー・ケリーの代名詞である“Holy cow!”(わー、すごい!)と絶叫し場内を沸かせました。

最近では昨年アーロン・ジャッジ(ヤンキース)が2年連続3度目の最多得票を達成。そして、今年、大谷が「40本塁打&70盗塁」のロナルド・アクーニャ(ブレーブス)、2年連続50本塁打以上のジャッジに阻まれていた両リーグ最多得票をついに獲得しました。メジャー9年目で初めて「トップボートゲッター」に仲間入りしました。

これまでの最多得票者を振り返ると「静かなる英雄」と言われたアーロン、プレースタイルに派手さはないがイチロー氏からも尊敬された人格者のカルー、誰からも愛された人気者のグリフィー、名門球団でキャプテンに任命されるほどのリーダーであるジャッジらが選出されており、彼らと大谷は共通するところがあります。それは「敵地でも大歓声が上がる」「お金を払っても見たい選手」「品行方正なプレー」「子供たちの憧れの的」といった点です。だからこそ、最多得票になったとも言えるでしょう。

また、94年以降ナ・リーグの最多得票者は06、09年のアルバート・プホルス(カージナルス)、17年のブライス・ハーパー(当時ナショナルズ、現フィリーズ)、23年のアクーニャと33年間でたった3人しかいませんでした。そういう意味でも、近年メジャーで優位に立つナ・リーグからの選出は大きな意義があります。

それによって、21年から6年連続6度目のDHで先発出場が決定しました。両リーグを通じて指名打者部門のファン投票で6度も選出というのは「ビッグパピー」の愛称で親しまれた巨漢スラッガー、デビッド・オルティス(レッドソックス)を抜いて初の快挙となりました。

メジャーで最も人気ある選手の証しと言える「トップボートゲッター」。昔に比べて球団数拡張で大リーガーが増加し、投打とも分業制の時代において、投打二刀流での「トップボートゲッター」は歴史的価値があります。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)