ドジャース大谷翔平投手にとって花巻東の後輩、スタンフォード大の佐々木麟太郎内野手がマーリンズと正式契約しました。晴れて、夢のメジャー挑戦が始まります。

7月12日のドラフトで、佐々木はマーリンズから8巡目(全体235位)指名を受けました。これはチームで20巡中8巡目ですが、決して低い順位ではないと思います。なぜなら昔は1球団だけで100人以上も指名。その後、各球団50巡目まで指名可能だった時代を考えれば、むしろ8巡目というのは上位指名に値するからです。

また、1965年にドラフト制が始まって以来、一塁というポジションは人気がなく、昨年のドラフトで上位100人のうち一塁手は89位の1人だけ。今回のドラフトも佐々木より上位に指名された一塁手はたった3人しかいませんでした。その上、まだ大学2年生という学年を考えれば、決して低い評価ではないと思います。

メジャーはもっと低い指名順にもかかわらず活躍した選手が数多くいます。特に、93年ナ・リーグの球団数拡張で誕生したマーリンズは、他球団の二流選手たちでチームの骨格を作らざるを得なかった宿命により、当時から下位指名の選手が目立ちます。最たる例はジェフ・コナイン一塁手です。

コナインは1987年ロイヤルズにドラフト58巡目(全体1225位)で入団。93年マーリンズに移籍し、球団創設1年目の歴史的開幕戦でいきなり4打数4安打の大活躍。以来チームの看板選手となり、97、03年と2度のワールドシリーズ制覇に貢献。その多大な功績から「ミスターマーリンズ」と呼ばれるようになりました。

他にも95年ヤンキースに20巡目指名で入団したマイク・ローウェル内野手は、99年マーリンズ移籍後に強打の三塁手として活躍し、02年から3年連続オールスター出場。99年メッツに38巡目指名で入団のマイク・ジェイコブス一塁手は、06年のマーリンズ移籍後にレギュラーとなり、08年に自己最多の32本塁打を放ちました。

さらに01年ダイヤモンドバックスに11巡目指名で入団したダン・アグラ二塁手は、06年マーリンズでメジャーデビューし、07年から4年連続30本塁打以上をマーク。09年カブスに25巡目指名で入団したジャスティン・ボーア一塁手は、14年からマーリンズで豪快なパワーを発揮し、20年に阪神でもプレーしました。

このようにドラフト上位指名選手より、むしろ下位指名選手がいかにしてメジャーにはい上がり、最高峰の舞台で活躍するかによって、チームのスカウティングと選手育成が高く評価されます。そういう意味でマーリンズは、下位指名の選手を育て上げてきた歴史があります。

昔からマーリンズは資金力がないので、若い選手たちを積極的に起用します。今年もメジャー30球団中で6番目に若い、平均年齢27.4歳という若手主体のチーム編成です。そう考えると、彼らに比べてはるか上位指名の佐々木には十分チャンスがあり、いつの日かメジャーでの活躍を夢見たいと思います。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

入団会見で背番号を見せるマーリンズ佐々木麟太郎(AP)
入団会見で背番号を見せるマーリンズ佐々木麟太郎(AP)