レッドソックスの本拠地フェンウェイパークの向かいにある土産物店では、額縁に入った「ザ・スティール」のサイン入り写真が販売されている。現在ドジャースの監督を務めるデーブ・ロバーツが現役時代の2004年ア・リーグ優勝決定シリーズで決め、今も語り継がれる盗塁シーンだ。

当時、ヤンキースを相手に0勝3敗と崖っぷちの状況で迎えた第4戦、レッドソックスは1点ビハインドで9回とピンチに立たされていたが、代走で出場したロバーツが二塁への盗塁を成功。その後の適時打で一気に三塁を回り、同点のホームベースを踏んだ。これをきっかけにレッドソックスは息を吹き返し、ついには86年ぶりとなるワールドシリーズ制覇を果たしている。

そのロバーツが今度は、23日開幕のワールドシリーズでドジャースの監督としてフェンウェイパークに戻ってくる。同監督はドジャースがナ・リーグ2連覇を決めた後、「レッドソックスとフェンウェイパークにはもちろん多くの懐かしい思い出がある。別の球団のユニホームを着てあそこでワールドシリーズに臨むということは、私にとって特別なことだ」とコメント。

レッドソックスのアレックス・コーラ監督は「彼が二塁への盗塁を成功させた直後、テキストメッセージを送ったよ。『ここで何が起きようとしているのか分からないが、もし勝てば、君がヒーローだ』とね」と、当時を振り返った。

レッドソックスの歴史に名を刻んだロバーツ監督。古巣の今世紀4度目のタイトルを阻止するために戻ってくるとは言え、地元ファンはヒーローに大きな歓声を上げることだろう。