メジャー19年目の球春が到来する。マリナーズ・イチロー外野手(45)が19日、都内のホテルで行われたMLB開幕戦のレセプションパーティーに出席した。20日のアスレチックス戦(東京ドーム)にスタメン出場の予定。45歳4カ月での開幕戦出場なら、野手ではフランコ(当時ブレーブス、元ロッテ)に次ぐ、年長記録となる。実戦で24打席連続無安打も、東京ドームはオリックス時代に得意とし、同じ日本開幕の12年も4安打。データも後押しする“逆襲のイチロー”が、日米通算4368安打目の快音をとどろかせる。

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華やかな開幕前夜のパーティーに、国民的英雄は細身の黒のスーツを身にまとい、登場した。ヤンキースの名将だったジョー・トーリ氏、マリナーズとアスレチックスの伝説、ケン・グリフィーJr.氏、リッキー・ヘンダーソン氏らも集う中、静かなオーラを放っていた。7年ぶりの日本開催を祝う乾杯の音頭とともに、イチローがグラスを重ねた。

全体練習は行われず、大舞台へ心を整えた。前日18日に巨人とのプレシーズンマッチを終え「始まってしまうという感覚はないですね。それは勝手に高まるから」と長年の感覚を口にした。

要の打撃の準備は整ったのか-。結果が無関係のオープン戦とはいえ、24打席連続無安打で終わった。それでもサービス監督は「開幕戦は先発で、そこからどうなるか見たい。攻撃はあまりいい形ではないが、わずか数日間で良い方向に持って行けるのがイチロー。彼にはそれだけの力がある」と明言。フランコに次ぐ、年長記録での開幕戦スタメン切符を手中にした。

昨年5月に会長付特別補佐に就任し、実戦を離れた。空白を埋める作業を繰り返したが苦闘した。1月にマ軍ディポトGMは「2試合で7安打を放てば、3試合目をプレーするチャンスはかなりあるだろう」と同GM特有の比喩ながらも高いハードルを課していた。今の状態なら、ハードルの高さは極限に達している。

まずは1本目を放たなければ始まらない。これまでも09年WBC決勝での決勝打など、数々の不振を乗り越えてきた。日米通算4368安打目を生む戦いが始まる。【広重竜太郎】

<イチロー記録メモ>

◆開幕戦 オリックス時代は打率1割3厘とさっぱりだったが、メジャーでは55打数18安打の打率3割2分7厘。メジャーで開幕戦の先発出場は13度あり、無安打は3度だけ。アスレチックスとの開幕戦は26打数10安打の打率3割8分5厘で、今年と同じ東京ドームで開幕した12年は4安打。

◆東京ドーム オリックス時代は通算343打数131安打の打率3割8分2厘。当時、本拠地としていた神戸の打率3割4分9厘より高く、日本時代に通算200打数以上の球場では最高打率。巨人と対戦した日本シリーズ第1戦で延長10回に決勝本塁打、メジャーの12年開幕戦4安打など、相性の良い球場。

◆12年開幕戦 今回と同じ東京ドーム、同じアスレチックス戦。3番右翼で先発出場し、開幕戦自身初の4安打を放った。1回、たたきつけた打球の遊撃内野安打。4回にも遊撃内野安打を放つと、6回には中前打で3打席連続安打。1点を勝ち越した直後の11回1死二塁では、中前打でこの年初打点を挙げた。5打数4安打1打点で、開幕戦勝利に大きく貢献した。

◆年長出場 現在、イチローは45歳4カ月。メジャーで野手の開幕戦先発出場の最年長記録は04年フランコ(ブレーブス)の45歳7カ月で、イチローは年長2位となる。プロ野球の最年長は98年落合(日本ハム)の44歳3カ月だから、日本人選手が45歳で開幕戦先発出場は日米を通じて初。