プロボクシングWBC世界バンタム級1位の那須川天心(28=帝拳)が“神童”と称された“格闘本能”に勝利を託す。同級王者の井上拓真(30=大橋)との再戦(27日、トヨタアリーナ東京)を2日後に控えた25日、都内で公式会見に臨み「本能で戦う」と断言。試行錯誤の日々を重ねた末に思い至った境地で、勝負どころで“天賦のひらめき”を最大限に生かす。
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崖っぷちのリマッチを目前にした那須川の決意表明はシンプルだった。「何も考えることはない。本当にやるだけ。本能で戦います」。帽子の下の鋭い視線は真っすぐに前を見据えたまま。同席した井上とは最後まで目を合わせなかった。
昨年11月に同級王座決定戦で井上に判定で敗れ、格闘技人生で初黒星を喫した。リベンジを期したこの10カ月間は苦悩と葛藤の日々でもあった。「いろんな壁にぶち当たって、練習以外でも日常から考えて考えて、それでもうまく動けず、3日休んだこともあった」と打ち明けた。
試行錯誤の末にたどりついた境地が、自分の本能を信じて戦うことだった。「トライ・アンド・エラー。いろんなことに挑戦して、考えて考えた結果、その時に思ったこと、感情、その瞬間に自分をゆだねようと思った。2週間くらい前のことです」。
ジムの先輩で元WBA世界ミドル級王者の村田諒太氏の助言がきっかけになった。「お前は天才なんだから、もっと堂々と自分らしくやれよ。ゴチャゴチャ言われて、いろいろ考えてやるんじゃなくて、自分のスタイル、感覚を信じろと言っていただいて、心が楽になった」と明かした。
もっとも「本能で戦う」と自信を持って言えるのは、苦しんだ練習の積み重ねが土台にあるからだ。「いきなり本能に任せようと思ってもできない。これまでずっと反復練習をやってきたからこそできること」。専門家の予想は王者に分があるが「自分の色を出すときが必ずくる。そこでどう相手をだまし、いやだと思わせせるか。前回はそれをやられた側なので、しっかりやり返したい」。やれることはすべてやり尽くした。最後は自分を信じて、本能に託す。【首藤正徳】

