21年世界選手権で日本人初の金メダル(バンタム級)を獲得したWBC世界スーパーフライ級1位坪井智也(30=帝拳)がプロ初黒星で世界王座獲得を逃した。プロ5戦目で同級2位リカルド・マラジカ(28=南アフリカ)との同級王座決定戦に臨み、1-2の判定負けを喫した。田中恒成、吉良大弥と並ぶ国内最速での世界王座獲得はならなかった。

25年3月の2回TKO勝ちのプロデビューから1年6カ月で挑んだ世界初挑戦だった。プロ過去4戦のうち、元世界王者2人と対戦。4月の元WBC世界同級王者ベドロ・ゲバラ(メキシコ)戦は2回に偶然のバッティングが発生。ゲバラが戦闘不能になり、無効試合となった。世界前哨戦は不完全燃焼だった。

坪井は「前回、パッとしない結果で、自分で(バランスが)崩れている部分があるかなと思い、徹底的に積み上げてきた。出来はすごくいい。自信がある」とリングに立ったが、身体能力の高いマラジカを攻略することはできなかった。

世界選手権で金メダルを獲得後、1度は引退を決めた。当初はプロ転向の気持ちもなかった。「アマに人生を懸けてきた。オリンピック(五輪)出場は3度逃し縁がないもの。(世界金で)悔いはないと思ったが、練習を止めてみるとまだやりたいと。自分の計画にはなかったが、プロで強い選手と戦うことが面白いのではないか」。

同じ95年(度)生まれの堤聖也(角海老宝石)、岩田翔吉(帝拳)、ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)らが世界トップで戦っていたことも大きく「同世代が頑張っているところをみて、ボクシングを頑張りたいなと。やりたいことは何でも挑戦したいと思った」と28歳という“遅咲き”でプロの世界に飛び込んだ。

7月12日に第1子となる長女が誕生。世界挑戦前に生まれたまな娘の存在は大きな発奮材料だった。「新しく家族が増えたことで、より責任感を持ってボクシングを頑張っていかなくてはいけない。娘が生まれたタイミングでこんな大きなチャンスをいただけた。いろいろラッキーだなと思う。しっかりとこのチャンスを1発で決めたい。(娘に)勝利を届けたい」。

長女誕生から子育てにも積極的に参加し「本当に良い日々」と充実していた。「負けて辞めて『パパは弱い』と思われるのも嫌。辞めるまで全盛期でいたい。そのためにダメージを負わずに圧倒して勝つことを徹底したい」と掲げていたが、マラジカに想定外の苦戦を強いられた。

オリンピック(五輪)金メダルとプロ世界王者には、同門の先輩でもある村田諒太氏(40)がいた。勝てば日本人初の世界選手権金&プロ世界王者、そして静岡県出身初の世界王者誕生の期待も高まったが、すべて「お預け」となった。アマチュア経験が長く、既に30歳。掲げた目標は同級での4団体王座統一だが、その第一歩となるWBC王座獲得には届かなかった。

■ラウンドVTR■

1回 坪井は積極的に前進。ボディーブローなどを狙う。リーチで9センチ上回るマラジカもワンツーなど的確にパンチを当てた。中盤に坪井はバッティングで額から出血した。日刊採点はマラジカの10-9

2回 1回に続き坪井は積極的に前に出た。マラジカは長い腕をいかして右ストレートを決めた。終盤に坪井は飛び込んで右ストレートをたたき込んだ。坪井の出血は止まった。日刊採点は坪井10-9

3回 坪井は左ジャブから前に出る。中盤に右の相打ちで、マラジカがバランスを崩した。マラジカは途中で左にスイッチする場面も。残り30秒は打ち合いの展開も、互いに決定的なパンチはなかった。日刊採点は坪井10-9

4回 坪井は飛び込んでボディーブロー、顔面への右ストレートを狙う。マラジカは懸命に前に出るも、有効打は決められない。終盤坪井はガードを固めて前進。終了ゴング前には連打を放った。日刊採点は坪井の10-9。4回までの公開採点では1人が39-37、2人が38-38となった。

5回 序盤は互いにジャブの差し合いも、試合のペースは坪井が握る。マラジカは下がりながらの攻撃が目立つ。坪井は終盤に、1回で負傷した箇所から再び出血した。日刊採点は坪井の10-9

6回 マラジカが接近戦を仕掛けてきた。開始から積極的な攻撃。坪井はガード固めてボディー攻撃などで対抗。中盤からはガードを下げて足を使う場面も。残り1分で坪井は距離を詰めて飛び込みながらの左フックなどを放つ。日刊採点は坪井10-9

7回 坪井は負傷箇所から再び出血する。マラジカが左にスイッチすると、坪井も左にスイッチ。残り1分で坪井がコーナーで連打。マラジカもしっかり右ストレートなどを返した。日刊採点はマラジカ10-9

8回 坪井は右ジャブからリズムをつくろうとした。坪井は足を止めてパンチを放つ。マラジカは右ストレートを顔面にクリーンヒット。終盤、マラジカは細かいパンチをあてる。終了間際には左フックも決めた。坪井の額からは再び出血。日刊採点はマラジカの10-9

9回 中盤から打ち合いとなる。坪井はボディーに細かい連打。マラジカも左にスイッチしながら小刻みにパンチを放つ。互いに有効打は少ない。日刊採点はマラジカの10-9。8回までの公開採点では、2人が77-75、1人が76-76

10回 マラジカが右ストレートを顔面にたたき込んだ。ワンツーも炸裂。坪井はガードを固めて左ジャブから攻撃を狙うが、有効打は決められない。終盤にマラジカが右ボディーブローを決めた。日刊採点はマラジカ10-9

11回 開始から坪井の額から再び出血。互いに打ち合うも有効打は少ない。マラジカは坪井が入ってくるときに右ストレートなどを放つ。手数もマラジカが上回った。日刊採点はマラジカ10-9

12回 開始から両者とも打ち合いに出た。坪井の額から出血。マラジカが左右の連打を決めた。中盤、坪井は細かい連打を放つ。互いにボディーの連打。互いに最後まで打ち合った。日刊採点は坪井10-9

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