8場所連続休場中の大相撲の横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が18日、北海道・帯広市で行われた夏巡業の朝稽古で、今巡業最多となる16番の相撲を取った。正代に3連勝すると、朝乃山には7勝6敗。朝乃山の右四つに苦しむ場面もあったが、左はず押しで封じて得意の左四つになれば圧倒した。土俵下から見守っていた八角理事長(元横綱北勝海)の前で気合十分の稽古内容だったが、朝乃山が足を滑らせて足首を負傷したため途中で稽古が終了。不完全燃焼だったのか、土俵から下りる際には、首をかしげながら物足りなさそうな表情を浮かべた。

 秋場所(9月9日初日、東京・両国国技館)に向けて着々と稽古を積んでいるように見えるが、報道陣に無言を貫くなど、依然としてピリピリムードを漂わせている。この日、朝稽古を見学した同じ二所ノ関一門の芝田山親方(元横綱大乃国)は「彼も報道陣に追っかけられながら必死にやっていると思う」と代弁。そして「後がないと思って取り組んでいるはず。やり切ったと思って次の場所に臨んでもらいたい」と、今巡業での猛稽古に期待した。残りわずかとなった巡業で、さらに調子を上げていく。【佐々木隆史】