政界地獄耳

憲法議論 自民党の本気度は/政界地獄耳

★自民党が訴える「改正案はいったん取り下げないか。9条は与野党にさまざまな思いがあり、取り下げることが審議促進になる」。10日の衆院予算委員会で国民民主党代表・玉木雄一郎は積極的憲法論議に挑んだ。改憲論議に消極的な立憲民主党に対して国民民主党は改憲論議に前向きだけでなく改憲賛成派が多い。それだからこそ昨年、玉木の代表就任以来、自民党はさまざまな形で秋波を送り、野党分断を図ってきたが功を奏していない。ぶれる玉木に対しての警戒感は党内やほかの野党にも強い。

★さて推進派の急先鋒(せんぽう)である首相・安倍晋三は積極的憲法議論の玉木にどう答えたか。首相が目標として掲げる「20年の改正憲法施行」についてただすと「あくまでも希望であり、私が述べたスケジュール通りになるとは毛頭思っていない。それは国会が決めることだ」と一転、消極姿勢に。どうも首相は誰かがどこかで憲法議論を進めてくれれば良いようで、ご自身が議論をリードするつもりはなさそうだ。そうなると一体自民党内で、急進派を除いて冷静な憲法議論をリードするのは誰なのだろうか。

★自民党は憲法議論を慎重に進めるため憲法関係担当者の布陣も変え、不退転の覚悟は示したが、当の首相がこのありさまでは本気とは思えない。「中身に入っていく自信がないのではないか。ラッパは吹くが各論の議論ができないか、耐えられない理論構築なのではないか」と野党幹部が言えば「そもそも自民党元幹事長・石破茂が言うように与党の一角、公明党は本当に改憲側にいるのか。今までの対応を見ていれば与党で3分の2の根拠すら危うい」(自民党議員)。公明党代表・山口那津男は毎日新聞で自衛隊明記案については「自衛隊についてはもう既に圧倒的多数の人が、その必要性を認めている」「憲法を改正しなければ自衛隊が国民の役に立たないということではないだろう」と言っている。これを見れば自民党の本気度が問われるというものだ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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