政界地獄耳

幹事長に誰も何も言えない責任政党/政界地獄耳

★15日の参院予算委員会。立憲民主党・杉尾秀哉が質問に立ち、自民党幹事長・二階俊博の「予測に比べるとまずまずに収まった」との発言についてただすと首相・安倍晋三は「発言の全体を承知していないのでコメントは控える」と述べた上で「私自身、発言を確かめてもいない。それよりも私たちは1人でも多くの人たちに1日も早く不安のない生活を取り戻すことができるように全力を尽くすことが使命だ。私たち政府はこの程度で良かったということは全くない」と応じた。

★党と政府は別だといいたいのだろうか、幹事長の責任追及と被災者の生活を取り戻すことは並行で行われればいい。14日の会見で官房長官・菅義偉も同様の質問に対して「与党幹部の発言ひとつひとつに、政府の立場でコメントは控える」と論評を避け政府とは別だとの認識を示した。とにかく首相も官房長官も党の幹事長が怖くて、どんな話をしたのかも調べようとしないし、幹事長を呼びつけることすらできない。改憲では党総裁と首相を巧みに使い分けるものの幹事長の不用意で不適切な発言をたしなめることすらできない。

★なぜならいわゆる魔の3回生など党若手議員の失言は幹事長がたしなめ、党の総裁に次ぐナンバー2である幹事長の失態は総裁がたしなめるべきだからだ。加えて閣僚の不祥事について首相は絶えず責任は私にあるとその責任の所在や任命責任を認めてきた。最もその責任を取ったことは一度もないが。自民党の議員はよく責任政党という言葉を使う。その通りで、政権の責任を伴う。ところが今回はだんまりを決め込んでいる。権限と権力を持つ幹事長には首相以下、誰も何も言えないということを証明した。また政治部記者も野党議員の批判を論評なしで載せるばかりで正面からの幹事長批判を見かけない。こちらも同罪だろう。午後になって事態が収拾しないとみた幹事長は「被災地の皆さまに誤解を与えたとすれば表現が不適切だった」と撤回したが、国民の記憶には残ることになる。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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