政界地獄耳

緊急事態宣言への憧憬がかいま見える/政界地獄耳

★今日、明日にも緊急事態宣言を首相・安倍晋三が発令するのではないかとみられているが、週末の首相の会見はピントがぼやけており、政府が何を準備し、どう闘おうとしているのかわからない。29日、コロナ対策を担う経済再生担当相・西村康稔は「専門家の意見を尊重しながら適切に判断する。国民生命、健康を守るために必要だという判断が出された時にはやらないといけない」というものの、東京都は感染者数を連日発表しているが、欧米の規模には遠く及ばず、この数字では緊急事態宣言は出せないだろう。それ以上に、政府が考える国民への補償や補填(ほてん)の仕組み作りが間尺に合ったものとして使いものになるのかに国民の関心が寄せられる。

★26日、都知事・小池百合子が埼玉、神奈川、千葉、山梨の首都圏知事と共同で外出自粛を呼びかけた。不要不急の外出は控えよという要請はだれが聞いても「備蓄せよ」と言われているようなものだ。買い占めたいのではない。何度も出かけることのないように自己防衛している買い物客を、知事たちは批判できるだろうか。購買欲が旺盛なのではなく、どうやって安全を確保するかの帰結が備蓄につながっているのではないか。その仕組みとパックで国民に説明できなければ、緊急事態宣言は成立しない。

★その危惧は、小池の発言や首相の発言からも垣間見える。政治家として都民や国民のために何ができるかではなく、このコロナ禍でどこまで合法的に、いや多少はぎりぎりを逸脱してでも過去の政治家が発令したことのない命令、つまり戒厳令のようなものへの憧憬(しょうけい)がちらつく。そのために、今緩い判断をしておいて発令の重大さをかみしめたいのではないか。最近、海外からの検疫が極めて甘いという話をよく聞く。政治家はこういう時、真価が問われるが、2人の政治家は何がしたいか分かりにくい。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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