政界地獄耳

GoToトラベル したたかな首長たち/政界地獄耳

★来月1日、東京がGo To トラベルの対象に追加されるが、都はさらに都民の都内観光や宿泊に補助金を出す計画を持ち、都議会にはかる。1泊1人あたり5000円程度のイメージというが、Go To トラベルとの併用の割引率は高い。東京だけではない。神奈川も県民に限り県内旅行の代金の一部を補助する事業を始める。1人あたり1泊最大7500円規模という。北海道、山形、新潟、福島、長野、埼玉、愛知、石川と少し検索すれば各県の取り組みが出てくる。

★Go To トラベルは旅行業に付随する旅館、飲食、電車、飛行機、バスなどの交通機関、旅行代理店とさまざまな業種に波及効果があるとして、コロナ禍の中、経済のアクセルとコロナのブレーキを同時に踏む、アクセル側の急先鋒(せんぽう)で導入された。自民党幹事長・二階俊博と、首相・菅義偉が官房長官時代にいわば強引に推し進めたもの。無論、コロナ禍ではこの業種だけが苦しんでいるわけではない。すべての業種が何らかの影響を受けているが、声の大きな政治家が後ろにいる観光業がすべての職種の中から最優先された。

★当初はトラブルが多く、ドタキャンも多いなど業者もお客も恐る恐るだったが、やっと軌道に乗ってきたという。コロナで自粛していたものがいろいろ解禁され、経済優先の“普通の生活”に戻りつつあるが、それは減少した感染者がまた増えてくることの繰り返しでもある。ところが各都道府県の首長たちはしたたかだ。県民が国のGo Toの補助金を使うのは結構。それに加えて県から補助金を出すから県内旅行や県内観光に切り替えてくれないかというもの。県外、ことに動員力のある東京からのお客に来てもらうのはありがたいが、コロナのまん延も怖い。ならば県内で完結する観光に助成しようというもの。県内の産業が安全に回復するのは結構だし、県外に出かけるのは怖いという人たちも取り込める。政治主導のGo Toを向こうに首長たちはどんな健闘ぶりを示すのか、楽しみだ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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