政界地獄耳

日米棒読み首脳会談を想像すると…/政界地獄耳

★政治家と時代は複雑だが極めて密接な相関関係があるといえる。1980年代、米国は元俳優のロナルド・レーガン、韓国は元国軍保安司令官、全斗煥が大統領。そして日本は先ごろ国を挙げての壮大な葬式を敢行した元海軍主計士官、中曽根康弘が首相だった。冷戦時代を3人の指導者は謳歌(おうか)したといえる。米国はソ連に対して「悪の帝国」と強硬路線を敷く。米国はスターウォーズ計画でミサイル防衛を固め、3首脳はいわば太平洋マッチョ連合の様相だった。

★これらは時代の要請だったように受け取られるが、実際は彼らの生きた世代の思いが政治に反映されたのではないか。その意味では米大統領のドナルド・トランプと前首相・安倍晋三も「気が合う」とお互いを評価し合い、似たビジョンを掲げた。さてそのトランプは民主党のジョセフ・バイデンと激しい選挙戦を繰り広げているが、米国でのバイデン評は「原稿を読むだけのつまらない演説」といわれる。今でも前大統領のバラク・オバマの機知に富んだスピーチの方が人気があるという。

★そこで我が国の国会である。低調で既出の内容を並べた首相・菅義偉の所信表明演説に対して28日、野党の代表質問が始まったが、それを扱った産経新聞は「首相は日本学術会議が推薦した6人の会員候補の任命見送りをめぐる質問でも冷静沈着な答弁に努め『実務型』を印象付けた」とある。読み違いを含めビジョンを示さず、棒読みに徹した所信表明や代表質問の答弁を「実務型を印象付ける」と感じた人がどのくらいいたかはさておき、国民に訴えかける演説や答弁だったかどうかといえば、前首相のように国会のヤジに感情的に反応したほうが、こちらもほめられたことではないものの、まだ論評のしようがあった。米国の選挙の行方は分からないが、バイデンと菅の棒読みコンビの首脳会談を想像すると、心配になる。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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