政界地獄耳

中国に二重に恥かかされた茂木と日本/政界地獄耳

★先月24日の外相・茂木敏充と中国外相・王毅の日中外相会談後の共同会見で尖閣を巡り王が「一部の真相が分かっていない日本漁船が釣魚島(尖閣の中国名)周辺の敏感な水域に入る事態が発生し(中国海警局が)やむを得ず反応しなければならない。引き続き自国の主権を守っていく」と日本の領土を一切無視した発言に茂木は何一つ反応しなかった。茂木はなにも反駁(はんばく)できず世界に大恥をかいたが、それは巧妙に王が仕掛けたわなだった。

★今月2日の香港&台湾アップルデイリーに甘粕代三なる人物による寄稿が掲載された。会見では尖閣について王は「一部の真相が分かっていない日本漁船」という表現を使ったが、日本の新聞は意味が分からずその部分を割愛する社もあった。甘粕は「日本のジャーナリストは『真相の分かっていない漁船』が何を意味するのか見当もつかないので、外相会談後の報道は一方的だ」と書いている。

★そしてその真相は日本の新聞にあったという。「沖縄県の地方紙『八重山日報』は6月21日、八重山漁協所属の(日本のCS放送局)日本文化チャンネル桜の第一桜丸と地元漁船の恵美丸の2隻が20日夜、尖閣諸島周辺海域へ出航したと報じた。同チャンネルの社長・水島総は11月19日、動画で石垣市議会が22日に尖閣の地名変更を行ったことが、日本の実効性管理の証しだと強調した。王が指摘した『真相の分かっていない漁船』とは偽装漁船という意味」と指摘した。

★海上保安庁、外務省は当然承知していたが日本ではほとんど報道がないため、隠していた“偽装漁船”の存在を王はわざと共同会見で暴露。そのことに反論できない茂木をしり目に堂々と日本の地で、外相と並んで「尖閣は中国領土」と宣言したことになる。したたかな中国外交にやられた瞬間である。茂木と日本外交は二重に恥をかかされたことになる。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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