政界地獄耳

【政界地獄耳】自民党に本気の安全保障論はないに等しい

★日本外交、自民党外交はこの数十年で「外交の安倍」を自負していた安倍政権以来、中国、韓国、北朝鮮、ロシアという近隣国との関係をみるみる悪化させて今日に至る。中国、韓国とは戦後の歴史修正主義を指摘され、北朝鮮との関係は拉致問題が大きく動いた小泉政権以降は全くうまくいっていない。日ロ関係に至っては27回首脳会談を続けたものの、稚拙な外交が露呈しただけだった。

★外交は選挙で票にならないとはよく言ったもので、ドイツサミットとスペインでのNATO首脳会議に参院選のさなか参加した首相・岸田文雄は自由経済グループの一員であることに満足しているようだが、欧米と違いロシア、中国、北朝鮮という権威主義陣営の最前線にいる自覚がない。外相の経験と来年のサミットを広島で行うことなどから勇んで行ったが。効果はいくばくのものか。

★1日午後11時ごろ、ロシア海軍の駆逐艦やフリゲート艦など3隻は沖縄県与那国島の南東およそ70キロの太平洋で確認され、その後、与那国島と西表島の間を抜け東シナ海に入った。4日午前7時44分ごろには中国海軍のジャンウェイ2級フリゲート艦1隻が尖閣諸島の魚釣島(うおつりじま)南西の接続水域に入り、同7時50分ごろ出域した。中国は我が国の尖閣諸島を自国の領土と主張している。自民党はこれに乗じて緊張をあおり、防衛費増強と言うだろうが、これが岸田外遊についての両国の答えなのだろう。

★元防衛庁長官で元自民党副総裁・山崎拓が毎日新聞に答えているように「防衛費を国内総生産(GDP)比2%にまで引き上げる議論がある。しかし、『防衛費を2倍にすれば、抑止力も2倍になる』というような、簡単なものではない。米国の軍事産業を喜ばせるかもしれないが、装備をそれだけ買うことは実際上、不可能だ」としている。自民党に本気の安全保障論はまだないに等しい。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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