政界地獄耳

【政界地獄耳】森喜朗を聴取してもどう攻めるか 裏金問題から政治は何を生み出すか見極める時期

★自民党内では「嫌疑なし、真っ白」(前自民党参院幹事長・世耕弘成)なのに政治的・道義的責任の処分が進んでいるが、国会内は元首相・森喜朗の聴取やそれに続く国会招致でグズグズしている。28日、参院予算委員会の理事懇談会で自民党参院国対委員長・石井準一から、今後の首相・岸田文雄の追加聴取で「対象は決まっていないが、森元首相も含まれ得る」というやりとりがあった。また参院予算委員会でも岸田は森を「関係者の1人であり、政治責任を明らかにするために必要な方ということで含まれ得る」と答弁した。自民党内のみならず、野党も森がこのキックバックシステムのキーマンとの見方を示しており、事態解明には森へのヒアリングは不可欠といえる。

★だがその説明を聞いたからといって、森をどう攻め立てようというのか。仮に森が作った仕組みだったとしても現役の安倍派閥幹部がその仕組みを「違法性があるからやめるべき」と葬ればよかっただけのことで、森のせいにするにはいささか無理がある。令和の時代に昭和の仕組みを「不適切にもほどがある」といってみても、どうにもならない。森周辺も「小泉(純一郎)や福田(康夫)も呼んで話を聞くのなら応じる」というスタンスのようで、そこまで鈴をつけられる器は現職の政治家にはいまい。

★「確かに森さんは細川政権後から自社さ政権樹立、その後の政治のほとんどの政局に顔を出す生き字引みたいな人だ。すべてを見てきている。それを知るからこそ、つい半年前まで多くの自民党幹部が森詣でをしていた。森さんの顔色を見ながら政治を動かしていた。逆に呼ばないと決定することで森さんから『岸田はよくやっている』と言われるほうが意味がある」(旧安倍派ベテラン議員)。政治とカネ、裏金問題から政治は何を生み出すか見極める時期に来ている。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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