政界地獄耳

【政界地獄耳】台湾や韓国に比べて日本の遅れが… 政治家の潔さ、国民の民意の持ち方

★思えば今年1月13日の中華民国総統選挙と第11回中華民国立法委員選挙(台湾国会議員選挙)のダブル選挙では現職総統の蔡英文の路線を継承した与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳が、最大野党・中国国民党や台湾民衆党を破り初当選。中国独立派の民進党が3期目の政権を担った。一方、113議席を争った立法委員選挙で民進党は選挙前の62議席を守れず51議席に。選挙前は37議席だった中国国民党は52議席と躍進。第1党になったが過半数を確保には至らなかった。中国政府は民進党が「島内の主流の民意を代表できないことを示した」とけん制したが、台湾の有権者は絶妙なバランスを保ったといえる。

★さて韓国総選挙も劇的だ。定数300で共に民主党と衛星政党「共に民主連合」が175議席(小選挙区+比例代表)を獲得し、単独過半数の第1党の地位を維持した。与党・国民の力は108議席にとどまり、大統領・尹錫悦(ユン・ソンニョル)は難しい政権運営を余儀なくされる。首相、大統領秘書室長、政策室長、首席秘書官全員の辞表が提出され、人心一新、野党に政策の譲歩をせざるを得ない状況が続き、政権は不安定になるだろう。

★いずれも国民は政権の維持を認めるものの、緊張感を議会に持たせたという民意を示した。また民主主義が機能していることを証明して見せてくれた。転じて我が国はどうだろうか。自民党は裏金事件の党内処分をしたが、お手盛りの処分を決め、500万円以下の裏金にはおとがめなしのでたらめな結果に終わった。それを堂々と国民に示しても、国民が受け入れ認めているから怒りの声が広がらない。メディアもあきれながらも絶対許さないというトーンではない。このまあまあ感が例外や特例、超法規、上級や下級といった優劣を生む。台湾や韓国に比べ、政治家の潔さ、国民の民意の持ち方など、日本の遅れが目立つといっては言い過ぎか。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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