5日午前11時40分ごろ、横浜市神奈川区の京浜急行「神奈川新町第1踏切」で、下り快速特急電車(8両編成、乗客約500人)と13トントラックが衝突した。電車は先頭から3両が脱線し、トラックは炎上。電車3両目の下敷きになっているのが見つかったトラック運転手の本橋道雄さん(67=千葉県成田市)が死亡し、電車の運転士と乗客の計33人が軽傷を負った。事故で京急川崎~上大岡間は、上下線とも終日運転を見合わせとなった。

衝突事故発生までの10分間にわたって、事故を起こしたとみられるトラックが神奈川新町近くの踏切の前で立ち往生していたことが、目撃者の証言で明らかになった。

駅近くで弁当を買ったという会社員の男性(68)は午前11時半ごろ、踏切の向こう側から、大型トラックが京急線の線路と並行する細い側道から踏切の正面に「頭から斜めに突っ込んでいた」のを見たという。側道は道幅が約3メートルと狭く、踏切付近は一方通行の部分もある。

男性はトラックの運転経験があり、付近を車で毎日走行しているという。「横浜の運転手で道を知っている人なら、曲がることが出来ないから通らない。せいぜい、2~4トンくらいのトラックしか通ることは出来ない。何をやっているんだろうと思った」と語った。

その後、立ち往生したトラックから運転していた大柄な男性が降りてきて後方を確認したという。男性は「(踏切に進入しようと右折する際)ハンドルを切るのにバックしたら、ブルーの標識がトラックに当たるのか、確認していたかもしれない」と語った。京急の駅員とみられる2人の若い人も出てきて「線路を渡ってきて少し話していた」と、運転手との間で何らかのやりとりがあったとも明かした。

その後、トラックはバックしたという。男性は昼食のため踏切付近を離れたが午前11時40分ごろ、事故が発生。男性が立ち往生を目撃してから、10分後のことだった。男性は「(京急の職員とみられる)10人ぐらいが走っていったから、異変に気付いたので見たら、線路から煙が出ていた」と振り返った。【村上幸将】