“息すっきり”で復活へ-。今週は世界決戦ジャパンC(G1、芝2400メートル、30日=東京)。大阪本紙の太田尚樹記者が昨年2着同着のシンエンペラー(牡4、矢作)に迫った。
喘息(ぜんそく)と肺出血のため凱旋門賞を回避しての復帰戦。馬房のウッドチップやカイバの与え方を変更するなど、呼吸器系のケアを万全にして臨む。
◇ ◇ ◇
追い切り前日の25日、坂路での調教を終えたシンエンペラーがくつろぐ馬房には、目にも明らかな違いがあった。床に敷き詰められているウッドチップが大きい。担当の吉田一助手は「ほこりを立てないように」と説明する。通常サイズだと軽すぎて宙に舞い、鼻から吸い込んでしまうリスクがあるからだ。
敗因を特定できたのは大きい。前走の愛チャンピオンS(6着)で不可解な敗戦を喫した後に、内視鏡検査を受けて「ぜんそく(炎症性下気道症候群)ならびに中程度の肺出血(EIPH=運動誘発性肺出血)」が判明。凱旋門賞を自重して回復に努め、ジャパンCへ目標を切り替えた。
呼吸器系をケアするため、あらゆる対策を施してきた。馬房の敷料だけではない。カイバも桶(おけ)ではなく、あえて地面において与えている。「その方が(体内で)浄化作用が働くみたい。(草を食べる姿勢と同じで)自然な食べ方でもあるから」。口に取り付ける吸入器を使い、医薬品も摂取しているという。
尽力に応え、着実に上向いてきた。19日の1週前追い切りでは、Cウッド6ハロン78秒9-11秒4の1番時計をマークしてオープン馬2頭に先着。吉田一助手は「順調。悪くはない。上がってきている。だいぶ大きくなって背が伸びた」と手応えを口にする。現時点でまだ絶好調までには至っていないようだが、今週のひと追いでさらなる上昇も期待できる。
1年前を忘れてはいけない。凱旋門賞の12着大敗から中6週という厳しい臨戦過程もあり、8番人気まで評価を落としていたが、好位のインからしぶとく伸びてタイム差なしの2着同着と底力を見せた。府中2400メートルではダービー3着の実績もあり、ベストとも思える条件だ。フォーエバーヤングでBCクラシックを制した藤田オーナー×矢作師×坂井騎手のトリオ。芝の頂上決戦でもやはり軽視できない。【太田尚樹】
◆前年2着からのリベンジ ジャパンCの前年2着馬は、外国馬も含めて過去に17頭が出走して【2・1・0・14】。連対率17・6%と意外にも振るわない。リベンジVを果たしたのはブエナビスタ(11年)と、シンエンペラーと同じ矢作厩舎のコントレイル(21年)だけだ。今回は1年前に2着同着だったドゥレッツァも出走を予定している。

