「2017日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」アユ釣り大会が8日、静岡・興津川で実施された。当初、9月17日開催の予定だったが、台風18号の接近で中止。通常、組み直して延期された大会は参加人数が減少する傾向にあるが、なんと8人増えて74人が集結した。青空の下、金沢辰巳さん(52=大月市)が初優勝した昨年とほぼ同じ場所からサオを出して17匹をキャッチして2年連続の優勝を勝ち取った。

 圧倒的な2連覇だった。

 74人の参加者の中で、金沢さんはもっとも最後に現場入りした。前年3位までのシード選手は予選が免除されるため「遅~い朝」でも問題ないのだ。

 ゆったりした動きで、大会本部近くにある大網のつり橋の上から川の様子を眺めて、予選を戦う参加者らの動きを観察していた。結論は早かった。

 金沢さん こりゃ、昨年と同じですね。興津川は面白いポイントがたくさんありますが、つり橋のすぐ上流。昨年と同じ場所に入ってみます。

 今年の大会は、日本列島に大きなツメ跡を残した台風18号の影響で2日前に、10月8日への順延を決定した。急な日程の変更の場合、代替開催日の参加人数が落ちる傾向にある。しかし、今回は参加する釣り人の気持ちが熱かったためなのか、8人増えて74人だった。

 興津川の釣りに詳しく、大会競技委員長もつとめる横山愛治さんは「今年は天然アユも今世紀最多の遡上(そじょう)とも言われた。さし込むようなアタリを味わえる。そんなことも影響したんじゃないですかね」と分析した。

 興津川の状態はほぼベスト。2日前の豪雨からの回復が心配されたが「すぐに清らかな水に戻る」(地元漁協関係者)ということもあり、川底の石が透き通って見えた。水勢も豊富で、オトリを追うアユのアタックも力強かった。

 予選では上流に入った渡辺一夫さん(71=福生市)が21匹(オトリ含む)を記録した。本部に張り出された予選結果の速報を凝視した漁協監視員も「2時間でこんなに釣れるのか。スゴすぎる」と感心していた。

 優勝した金沢さんは、つり橋のすぐ上流。移動時間は約15秒。釣りに専念して17匹を次々に釣り上げて、観戦した参加者から1匹ごとに拍手を受けていた。

 金沢さん 上出来です。この興津川アユ釣り大会はいろんな競技会に出場する有名な人や、アユ釣りのビギナーも同じ立場で挑戦できる。その雰囲気が好きなんですよ。もちろん、来年も上位を目指します。

 清らかな興津川。この10月も、20センチ超の落ちアユ狙いで、まだまだ釣りはできそうだ。【寺沢卓】

 ▼ルール 予選参加71人が、大会本部となった大網のつり橋を境にして上流エリアに36人、下流エリアに35人に分かれて2時間、腕を競った。

 決勝では、シード3選手を加え、オトリ2匹を含む匹数でそれぞれ10位タイとなる上流11人、下流10人が場所の入れ替えなく、予選のすべてのエリアで2時間釣りに専念した。

 ▼問い合わせ 興津川「あこがれ亭」【電話】054・393・3814。興津川非出資漁協【電話】054・393・3894。