高級魚シマアジが年明けから好調継続中だ。同魚をメインターゲットに豊富な魚種を五目で狙う日刊スポーツ共栄会、千葉・館山の相浜「松丸」(西藤裕船長=62)は、本命シマアジを求める釣り人で連日にぎわっている。だが、取材で乗船した日は寒の戻り。前日までの春模様がうそのように冷え込み気温4度。しかも雨。まさに修行状態だったが、それでもほぼ満席となり、シマアジを求める熱気に包まれていた。
22年年明け1発目の出船で1・7キロの良型が上がると、その後2~3キロ台が続々と顔をみせ続けている。好調は現在も続き、この3カ月間で最大は3・6キロ、長さは63センチ。この日も、そんな大物を狙う猛者たちが乗船した。
最初のポイントは午前5時半の出港から約10分ほどの近場で、水深約20メートル。「下から5メートルね!」。西藤船長の指示で一斉に仕掛けを投入。約10分ほどで船中第1号の本命シマアジを上げたのは左舷ミヨシの緑川英雄さんだった。「船長の指示通りでした。着底してから1メートルほどビシを上げて、コマセを振って4~5メートル上げたところで食った。小さいですけどね」と緑川さん。30~40分後にはシマアジの入れ食い状態となったが、この日は最大で33センチと小ぶりだった。「子どもばかりですね。親が怒ってくれるといいんですけどね」と西藤船長は笑った。
約1時間後にはイサキに変わりつつあった。そんな矢先、緑川さんのサオ先が大きく沈み込んだ。「何だ? 重い!」。水面に姿を現したのは5キロの大ビラメ。「同じように誘っていたら急にグンとなった。まさかヒラメだとは思っていなかった」。釣った本人が一番驚いていた。
3月19日に開幕した東京湾マダイダービーで、過去3連覇の記録を持つ山口雄一さんも乗船していた。「シマアジが食べたくなってね」と笑い、「コマセマダイと違ってこの釣りは忙しい。俺の性に合わないな~」とぼやきながらの釣行。その山口さんに大きなアタリ。しっかりアワセを入れ、上がったのは良型のイシダイだった。「グッときたから本命かと思ったけど違った。残念だけど、イシダイはうれしいね」とにっこり。右舷胴の間で初挑戦した今関孝洋さんもイシダイを上げた。
3回目のポイント移動後、今関さんとともに初挑戦した右舷トモの一之瀬勝信さんに大きなアタリ。「えっ、何々? 止まらないよ!」。一之瀬さんのリールからラインが出続ける。必死に抵抗するが、ラインは出る一方。「えっ、何? 何これ?」。だが、急に軽くなった。仕掛けは回収でき、針もあったので餌取りでも、サメでもなさそうだ。「底を取って1メートルほど巻いて、コマセを振ろうしたら急にグンときた。暴力的な引きだった。ワラサどころじゃない! 今までに経験したことがない強烈な引きでした」と興奮気味に話した。
結局この日、大型のシマアジは上がらなかったが、それでも全員が本命をゲット。その上で、左舷トモでは守屋茂さんが良型のメジナ、右舷ミヨシの金子聡さんと胴の間の田中宏司さんは1~1・5キロのマダイ、右舷胴の間で勝負に挑んだ本紙釣り班スタッフ渡辺久美子さんはカンダイを上げ、豊富な魚種でクーラーボックスはパンパン状態となった。
「去年の今ごろはイサキを狙っていたので、シマアジを比較できるデータがない。今年から通年でシマアジを狙っていますが、ほぼ連日調子がいいですね。2~3キロ台が上がってます」と西藤船長はいう。だが、取材当日の2日ほど前から潮温が下がってしまい、大物の反応は今イチ。「先週はずっと16度台だったけど今日は15度台。この1度の差が大きいんです」と続けた。今後については、「春は魚が入ってくると思いますので、今後も期待できますよ!」と胸を張った。【川田和博】
<釣ってよし、食べてよしの高級魚>
シマアジは元々伊豆~伊豆諸島の温帯域で釣れていた魚だが、ここ数年、温暖化の影響もあってか、館山の目と鼻の先でも釣れている。釣り人の間で大型は通称“オオカミ”と呼ばれ、相浜では8キロ以上を“オオカミ”としているが、型の大小にかかわらず強烈な引きが魅力だ。さらに、掛かっても釣り上げるのが難しく、これも釣り人の挑戦心をかき立てる要因だ。アジ科のため口が弱く、「掛かりが悪いと口切れしてしまう。釣り上げられる確率は半分くらいですね。しっかりアワセを入れて上顎に針を掛けるのがコツです」と西藤船長。
天然物が市場に流通するのはごくまれだという。西藤船長は「2~3キロの天然物は1匹1~2万円で取引されていますから、まさに超高級魚です」と説明してくれた。ブランドアジでもある「黄金アジ」は脂のうま味があるが、シマアジはより筋肉質で、かみ応えが特徴的。包丁を入れる際でも、その違いが分かるほどだ。
魚は火を通すことでうま味が増すという説もある。もちろん刺し身がオススメだが、あえてアジフライでいただくのは釣り人ならではの特権かもしれない。まさに釣って良し、食べて良しの1匹だ。
▼相浜「松丸」【電話】080・1154・5283。集合午前5時。仕掛けはサニーFL60号ビシ、ハリス6号2~2・5メートルか状況によってウイリー五目仕掛け(ハリス4号2~3メートル)用意。道糸は3号以上推奨。2号では切られることが多い。4月定休日は13&27日。※詳細は船宿にお問い合わせください。

