<心臓・血管を若々しく保つコツ(16)>

 心臓・血管病を予防して健康に過ごすには、「規則正しく栄養バランスの取れた食生活」「適度な運動」「上手にストレス解消」「禁煙」「適量飲酒」などと共に、「健康睡眠」が重要です。7~8時間睡眠が最も健康に良いことは、科学的に裏付けられています。しかし、その十分な睡眠を確保するのは難しいようです。睡眠不足が続くと、ホルモンの分泌や新陳代謝に少しずつ悪影響を与え、「高血圧」「心筋梗塞」「狭心症」「脳梗塞」「糖尿病」など、多くの生活習慣病を招いてしまいます。

 だからこそ、できることはキチッと行うことが重要。一時的に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」は、まさに治療ができる疾患なので、これは放置してはいけません。

 睡眠時無呼吸症候群の患者数は、200万~300万人と推計されています。眠っている間に呼吸が弱くなる状態を「低呼吸」、呼吸が止まった状態を「無呼吸」といい、医学的には10秒以上と定義しています。低呼吸や無呼吸が1時間に5回以上あると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。これを放置していると、多くの生活習慣病のみならず、最悪のケースでは突然死を招いてしまいます。

 「目覚めた時にスッキリ感がない」「眠っても疲れが取れない」「目覚めた時に頭痛がする」「日中の強い眠気」などの症状のある人は、睡眠外来でしっかり検査を。そして、睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、治療を受けましょう。

 治療は状態に応じて行われ、重症の場合は「CPAP(シーパップ)」で対応。鼻にマスクをつけて、機械から鼻を通して空気を送り込み、気道の閉塞(へいそく)を防ぐ方法です。これで効果が得られない時は、「あご切り手術」を行って気道を広げます。このように睡眠を改善できることがあれば、しっかり行って、心臓・血管病を予防しましょう。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)