医師で作家の鎌田實氏の新連載「ピンピンひらり最新健康法」を展開中です。

71歳の鎌田氏が、長寿時代の今、ピンピン健康に生きて、痛みや苦しみとは無縁で、ひらりとあの世に行きたいという自身の願望を込めて執筆。

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◆認知症になっても終わりではない

コロナ自粛中に認知症予備軍だった人が、本格的な認知症になったり、働き盛りの人の認知機能が落ちて、仕事が前ほどはかどらなくなったりしています。

認知症はとても難しい病気です。「認知症になったら安楽死がしたい」という人たちがいますが、認知症はそんなに単純なものでもありません。多くの認知症は、まだら脳状態で、できないこともある一方、努力していると結構いろいろなことがやれるのです。

◆幸せに生きられる

若年性認知症になって今66歳の佐藤雅彦さんは、「認知症にかかったことで、生活は不便にはなったけど、私は不幸ではありません」とはっきり言っています。

とにかく、家に閉じこもっていたら、どんどん病気が進行すると思い、毎日散歩をするという目標を立てた。そして美術館に行くようになった。

絵を見てるうちに自分で絵を描くようになり、コンテストに出展したら賞がもらえた。

5年前からピアノを習い始め、先生と「夏の思い出」を連弾した。

人生を楽しまなければ損だと思っている。

◆いかに生きるか

佐藤さんからメールがきました。テーマは「いかに生きるか」。

(1)役割がないと充実した人生は送れない。

(2)自分で自分を尊い存在だと思わないと豊かな人生を送れない。

(3)1人の時間を有意義に過ごす術を持たないと、人生を豊かに過ごせない。

自粛生活中でも、孤独に負けませんでした。頭が下がります。若年性認知症の診断がついてから16年たった今も、ちゃんと1人暮らしができています。コロナにも負けていません。