統計的に早く失われるのは下顎の第二大臼歯(親知らずを除き、最も奥に生えている歯)です。次に上顎の同じ歯、その次は手前の第一大臼歯といった順で寿命が短くなる傾向にあります。

歯ブラシがうまく当たらず虫歯になる、かみ合わせによって負担がかかりやすいなど、理由はさまざまですが、比較的若い頃に抜歯に至ったという方も少なくありません。

前歯であれば「見た目が気になるので早めに何とかしよう」と考えるのに対し、奥歯は数十年も放置したままという患者さんもいます。が、やはり長い目で見るとこの考えは得策ではないと思います。支えを失った両隣の歯が倒れる、かみ合う相手になっていた歯が出っ張ってくるといった現象が起こり、歯並びやかみ合わせ全体のバランスが崩れます。

こうした不調和は年単位の変化でゆっくり進行するため、案外自分では気づきにくいものです。歯を抜いた当初は何ともなかったのに、他の歯が揺れ始めるなどのダメージが出てからいざ治療に取り掛かろうとしても、ともに乱れた周囲の歯までも補正しなければなりません。余分な費用や時間もかかります。

もし今放置しているという方がいたら、1日も早い対処をおすすめします。具体的な治療方針についての相談も非常に多いのですが、<1>見た目<2>両隣の歯への負担<3>かむ感覚<4>外科的処置の有無<5>費用、といった要素を複合的に判断してじっくり考えることが大切だとお伝えしています。

もって生まれた天然の歯に比べると、どれも劣るのが当然です。義歯もインプラントも「代用品」なので、補ったらその後は手入れが不要というわけにはいきません。歯科医院ではそれぞれの長所や短所を詳しく説明してくれますから、自分のライフスタイルや経済状況に見合った選択をしましょう。