口腔(こうくう)乾燥症(ドライマウス)とは「口が渇いている」と自覚する症状すべてが対象になります。つまり、唾液腺の疾患といった病的な要因から、年齢やストレスなどが関係する比較的軽度なものまで、幅広い病態であるといえます。
原因によって対処法が異なるため、まずは自分の口がどの程度渇いているかを客観的に知っておくことが大切です。ドライマウス専門外来での統計によると、患者の半数以上が女性かつ60歳代以降という報告がありましたが、若い方でも男性でも可能性はあります。
歯科医院での診査、診断では主に<1>視診および触診(口腔粘膜の乾燥状態、唾液の性状や舌の色などを観察する)<2>唾液分泌量の測定(紙コップに唾液を吐き出してもらう、ガムやガーゼをかんで出る唾液の重量を測る、口内水分計を使用する等)を行います。
この結果、全身的な疾患が疑われるケースや、精密な検査が必要と判断された場合は病院歯科や耳鼻咽喉科への紹介を行います。専門外来では唾液腺の造影検査やCT、MRIといった画像検査、血液検査などを実施することで原因を究明します。自律神経失調、薬剤が関与するもの、心因性のもの、シェーグレン症候群(唾液腺や涙腺などの外分泌腺が萎縮し口や目が乾燥する自己免疫疾患)といった原因が多いようです。
どこの科を受診したらよいかわからずに不安を抱えたまま長期間過ごしていた方や、逆にドクターショッピングを繰り返して解決に至らなかったという方まで、クリニックで出会う患者さんは実にさまざまです。歯の磨き方や歯磨剤の種類を変えただけで20年以上続いていた不快感が解消した症例もありましたし、思いがけない病気が隠れていたという経験もあります。観察する姿勢の重要性が、生活の質を支えると実感します。

