大動脈弁の手術は内科的治療も含めて4つ行われていますが、大きく分けると外科が行う手術と内科的治療。内科的治療は「TAVI(経カテーテル的大動脈生体弁植え込み術)」です。

これは脚の付け根の大腿(だいたい)動脈からカテーテルを挿入し、それを大動脈弁のところまで運び、そこでバルーンを広げて生体弁を留置する治療です。身体に負担が少ないとあってTAVIの治療はどんどん増えています。人気になっているとはいえ、適応患者さんに行うべき治療なのです。

私は、TAVIと手術のすみ分けをきちっとすべきだと考えています。それはTAVIの生体弁は5~6年で壊れてしまうからです。私は「まだ10年は大丈夫」と思われる患者さんには、第1選択は手術。そして、手術から10~15年経過。80歳を超えて手術で治した大動脈弁の具合が悪くなってきた場合は、そこでTAVIの選択をするのがベストと思います。

TAVIは患者さんの身体の状態から「うまくいってあと3、4年でしょう」という段階で選択すべき治療です。80歳だが、まだ10年は大丈夫という方がそこで選択し、4、5年後にTAVIが壊れたら、そこで手術ができるでしょうか。

やはり大事なのは、人生の先を見て患者さんには選択してほしいのです。まだ80歳前であっても「私はもう十分生きた。いつ死んでもいい」と思っている方もいます。そういう方はTAVIでもいいかもしれません。ここは、主治医と患者さんとで十分話をして、後悔のない選択をすべきと思います。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)