1990年代に札幌医大病院で脳梗塞患者に骨髄幹細胞培養液を利用した再生医療の臨床試験が行われ医学界の注目を集めました。それから脊髄損傷に対する再生医療の厚生労働省の承認が下りたのが2018年で約30年の歳月が過ぎました。
その理由は、ほかの治療方法がない場合だけ再生医療の臨床試験が認められるので長きにわたってしまったのです。白血病の治療も再生医療が多く用いられますが、こちらのほうは再生医療が標準医療なので大きく進歩しました。新薬もでき、寛解し社会復帰する人が普通になった感がします。水泳の池江璃花子さんが良い例です。骨髄バンクなども進化し、必ずしも近親者からの骨髄の提供だけでなく、他人の方の骨髄も提供される場合や最近では自分の骨髄で治療をする方法も開発されています。
ここで少し再生医療のメカニズムについて紹介しましょう。この医療は幹細胞(卵子や精子も含まれる)を培養し、患者の必要な細胞を作成しその患部に集積させることによって治療することです。例えば、胎盤を覆っている羊膜から摂取した幹細胞を培養し、患部に注入して治療効果を期待するものです。その他、若い女性の脂肪、幼児の歯髄など活性化の高い幹細胞を使います。活性化の最も高いのは受精卵でこれはこの1つの細胞から体全体を作るので万能細胞と呼ばれています。
当然、万能細胞を利用した治療は倫理的問題があり、また各臓器にも幹細胞は存在します。しかし採取や培養が困難だったりするため実用化に向いてはおらず、骨髄、羊膜(臍帯=さいたい)、脂肪、幼児歯髄を利用し研究を行っています。
◆都筑俊寛(つづく・としひろ)コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京院長、フランス国立神経学研究所客員教授、医学博士、日本耳鼻咽喉科認定専門医。01年よりいびき、鼻アレルギーに対するレーザー日帰り治療に特化を始め、レーザー日帰りいびき手術の総件数は2万4000例を超える。現在はエクソソームを活用した老人性難聴の治療や難病の予防、QOL改善にも取り組んでいる。

