2016年(平28)の歯科疾患実態調査によると、日本で毎日歯を磨く人は95・3%と報告されています。歯みがきという行為がこれだけ生活に根付いた習慣であるにも関わらず、やり方や効果に関してよくわからないまま過ごしているという方も多いのではないでしょうか。

歯ブラシの選び方はもとより、その相棒ともいえる歯磨剤(歯磨き粉)については、使用するか否かも含めて見解が分かれるところです。紀元前1550年頃の古代エジプトでの記録が、世界でもっとも古い歯磨剤の登場とされており、薬効成分や清掃剤、防腐剤や香味成分を混合し使用していたと記されています。日本では1643年頃に初めて「歯磨」という用語を使った商品が作られ、1888年(明21)に練り歯磨きが誕生、1911年(明44)にはチューブ入りのものが発売され、以後現在まで続くポピュラーな形状となった歴史があります。

振り返ってみると、どの時代の成分にも清掃剤の配合が必須であることがわかり、人類が何のために歯磨剤を開発したかという意図は明白です。水だけのブラッシングでは約30%の歯垢(しこう)しか除去できなかったが、清掃剤として炭酸カルシウムを配合した歯磨剤を使用した場合は64%の歯垢除去ができたという1984年の臨床報告を筆頭に、これまで数多くの研究からその有用性が証明されています。

2カ月に及ぶ歯垢付着率を比較した実験では、水のみのブラッシングと比較して約30%の歯垢付着量低下が認められたともあります。優れた歯垢除去効果および再付着や再形成を防止する効果が期待できるのであれば、歯磨剤そのものは、毎日のブラッシングで口を清潔に保つ必須アイテムだと考えてよいでしょう。