2018年に全国2345カ所の歯科医院で行われた調査結果によると、歯を失う原因で最も多かったのが「歯周病(37%)」で、以下「虫歯(29%)」「破折(18%)」と続きます。「破折」というのは文字通り、物理的な負荷がかかり歯にひびが入ってしまうことを指しますが、事故などのけがによって破折が生じることは少なく、大半は虫歯が進行して神経を取った状態の歯(無髄歯)がトラブルを起こし持たなくなったケースだと判断されています。こうしたリスクを踏まえると、歯を残すために必要なポイントが浮かび上がってきます。
一つ目は、歯周病や虫歯の原因となる細菌が侵入しない環境を作ることです。毎日のセルフケアが基本ですから、自分に合った磨き方をマスターし、適切なツールを使いましょう。二つ目が、詰め物やかぶせ物の適合です。1995年の日本口腔(こうくう)衛生学会誌に興味深い論文が掲載されています。これによると、小さな虫歯にプラスチックを詰める治療(コンポジットレジン)は平均5・2年、金属のかぶせ物(クラウン)であれば平均7・1年で持たなくなるとの結果が出ています。保険診療内のこうした材料は、残念ながら二次う蝕(一度治療した歯が再び虫歯になる現象)を招きやすい点がネックです。再治療に至るということは、新たに虫歯に侵された部分までを一回り大きく削って、新しいものに置き換える必要があります。詰め物・かぶせ物のフィットが良いからこそ、丁寧な歯磨きをする効果が出るのであって、もともと適合がいまひとつ、あるいは材質が劣化して段差があるといった状態では不可抗力です。二次う蝕になりにくい材質を選択することは、一生涯歯を健康に保つ近道といえます。

