肝臓がんの手術は2012年から大きく進化しました。それは2つの方法を導入したからです。第1はカーナビのようにどこを切除しているかが分かる「術中の手術ナビゲーション」、第2は、ICG(インドシアニングリーン)は緑色の色素で、近赤外線光を照射されると蛍光を発してがん部分を光らせる「ICG蛍光法」です。これを2014年から腹腔(ふくくう)鏡手術に導入し、肝臓がんも開腹手術ではなく「腹腔鏡手術時代」が到来しました。
私たちは腹腔鏡手術にとどまることなく、今年の初めから「ロボット手術」を開始しました。その手術ロボットはダビンチです。ダビンチにはICG蛍光法がついていて、それを使って手術をしたいと思えば、スイッチで緑の画面がでてきます。その緑の画面には2つの方法があります。
<1>切除区域が緑に光る 肝臓がんは、肝臓の輸入血管(血液を送り込む血管)である門脈へ広がっていきやすい、と言われています。その門脈に針を刺してICGを注入します。そして、緑に光ったところが肝臓のがんのある領域で、切除区域とわかります。
<2>緑に染まっていない部分が切除部分 肝臓がんに届いている血管がすでに分かっている場合に行う方法です。がんへの血流を止め、そして、ICGを静脈注射します。すると、ICGは全身に流れ肝臓の中にも入ってきます。それで肝臓すべてが染まるのですが、がん部分への血流を止めているため、その部分はICGが抜けているので染まりません。染まっていない部分ががん部分なので、そこだけを切除します。
ただし、ICG蛍光法にも難点はあります。それは、良性の腫瘍も光ることがある点です。ただ、がんのある場所は画像診断でわかっているので、その場所にあればがんで間違いはありません。それ以外のところが光っているときは、がんの有無を超音波で確認します。それによって、画像診断で発見できなかったがんが見つかることもあります。これを「新規病変の拾い上げ」と言います。新しい病変が見つかるのもメリットです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

