食事で1日5~6グラム程度まで減塩すると、高血圧、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病や認知症など、さまざまな病気のリスクを下げられる。とはいえ、減塩は難しい。身についた食習慣を急に変えるのは容易なことではないからだ。

「英国では国策として企業に働きかけて塩分を3年間で10%減らし、病気予防につなげて年間医療費の削減に成功しました。日本高血圧学会でも、国内企業の減塩食品の後押しをするなど、陰ながら減塩施策を進めています」とは、東京都健康長寿医療センターの原田和昌副院長。循環器専門医・地方評議員、高血圧専門医・評議員などの資格を有し、減塩についての啓発活動も行っている。

「減塩を意識した企業の社員食堂では、ナッジ理論に基づくメニュー構成にするなど工夫しています。そういった取り組みに乗って食品を選ぶと、自然に減塩につながるでしょう」

ナッジ理論は、2017年にノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラ-教授らが提唱した行動変容を促す理論だ。たとえば、お勧めランチメニューの1番目に留まるところに減塩料理を置くと、そうでないときと比べて、減塩メニューを選ぶ人が増える。

「ご自身で計算したり、作るのが面倒なときには、『減塩』メニューや食品を選ぶだけでも、当然のことながら減塩につながります」

減塩策に乗って、翌年の健康診断でメタボリック症候群などの数値が改善すれば、苦労もなく健康に近づいたことになる。身構えることなく、食品&料理選びで減塩につなげてはいかがだろうか。