自分のことはわかりにくい。それが現実。本当の自分って何なのかわからない。相手も何を考えているのかわからない…。自分とは考えが違う他者が存在しているということを常に意識することはとても大事。

自分の枠から越境して、他者の存在ににじり寄ると、今度は逆に自分の本質が見えてくる。自分がこだわっていた枠の境界を超えようとしていく時、面白い化学反応が起きる。

【他者の存在を意識する】

50年間、地域医療をしながら、亡くなっていく人たちをたくさん診てきた。もしぼくが亡くなる本人だったらどうしてもらいたいか、家族の立場だったら何をしてほしいかを考えるようにしてきた。関わる相手は全て三人称。でも、自分だったらどうしてもらいたいか。自分の家族だったらどうしてあげたいかと思いながら、境界を超えて距離感を近づけるように取り組んできた。

ラーメン屋さんでも、おすし屋さんでも、成功している人たちは多分この境界線を意識していると思う。客ににじり寄ったり、魚をとってくれる漁師や、野菜や米を作ってくれる生産者のことを考えながら、最高のラーメンやすしにする。

他者の存在を意識しながら、自分流に世界を見ていくことで、世界と自分、自分自身をより深く理解していくことができるようになっていく。患者さんとの距離を縮めるだけでなく、チェルノブイリやイラクの子供たちを支援してきたのも、境界線を越える行いだった。越境する時には快感があるのだ。