長期間の喫煙に関わる慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)や、中高年の痩せた女性、免疫抑制剤などで発症リスクが高くなる肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)は、現在、国内外で患者数が増えている。
「肺NTM症に関わる環境因子は、まだよくわかっていません。ひとつは浴槽と考えられ、現在、調査を進めています」と、公益財団法人結核予防会 複十字病院呼吸器センター治験管理室長、臨床医学研究科長の森本耕三医師は話す。
「肺NTM症の治療を終えても、同じ環境に戻って再発を繰り返す人もいます。そのような患者さんの浴室を調べると、NTMが見つかることがあります。再発を繰り返す場合は、浴室の衛生環境を整えることが予防につながると考えます」
こう話す森本医師の研究では、肺NTM症の主な原因菌のアビウムとイントラセルラーレのうち、アビウムが浴室で見つかるケースが多いという。患者の浴槽水中を調べた結果、約28%からアビウムを検出したという。再発する割合も、浴槽水中にアビウムがいる群の方が2倍以上も高かった。
「再発を繰り返す肺NTM症の患者さんに、シャワーのみの入浴を勧めたところ再発しなくなったケースもあります。浴室は感染源のひとつと考えられます。しかし、イントラセルラーレの感染経路がよくわかっていないのです」(森本医師)
NTMは河川や土壌に広く分布していると考えられているが、肺NTM症には未解明な部分がまだ多い。いずれにしても、肺機能や免疫力が低下した人は、浴室をなるべく清潔にすることを心がけた方が無難といえそうだ。

