失神患者の特徴として、脳梗塞などによるてんかん発作では発作後も意識がボーっとしているのに対し、不整脈が原因の場合には失神の後はスッキリ覚めるとよく言われますが必ずしもそうではありません。失神後に脈が遅いまま(徐脈)で血圧が低い場合、やや認知症がある高齢者の場合には、不整脈性失神でも意識の回復がやや遅く感じられることもありますので、一概に心臓由来の失神を否定できないのです。

てんかんによる失神と異なり、心臓由来の失神の直接の原因は全て脳血流が滞ることにより起きます。私たちの脳は常に活動しており常に脳に血液が流れ続けています。5秒間だけでも脳血流がゼロになれば脳活動が瞬時に停止し目の前が真っ黒(ブラックアウト)になります。

心臓性の失神には、若年者に多く見受けられる朝礼失神・起立性失神があります。自律神経のいたずらによることが多いです。朝礼失神は中学生などの思春期によくみられます。大人の階段をのぼる頃の体と心のアンバランスから生じると、ある意味言うべきでしょうか。

起立性失神もまた類似したメカニズムで生じます。「主任になり、仕事が忙しく残業で寝不足が続いています。仕事中立ちくらみがあって早退しました。電車に乗車中に意識を失い、気がついたら駅で介抱受けて先生の病院に運ばれました」と言う34歳の男性会社員がいました。これも自律神経のなせる技です。

脳と心臓、全身を巡る血管は自律神経でつながっています。一種の自律神経失調症状です。自律神経のアクセル役の昼の神経である交感神経と、ブレーキ役の夜の神経である副交感神経の連動障害による血圧低下です。マニュアル車に例えるなら、ブレーキとクラッチ操作ミスで起こるノッキングやエンストと言えばわかりやすいでしょうか。