『加齢性難聴』は、高齢になるにしたがって聴力が低下する難聴です。加齢によって何が起きているのでしょう。
私たちが音を聞くときは、まず音の振動を耳の内耳にあるカタツムリの形をした蝸牛(かぎゅう)で電気信号に変換します。その変換の主な担い手が「有毛細胞」。有毛細胞は感覚毛を持つ感覚細胞です。電気信号に変換されると脳に送られ、脳が聴神経からその信号を受け取ることで音が聞こえるのです。
ところが、その音を聞くための部分で有毛細胞が減ったり、他の機能が低下したりすることで、音が十分に検知できなくなるのです。つまり、有毛細胞が振動を捉えても、それを電気信号に変換できなくなることで音が聞こえにくくなるのです。加えて、神経などが悪くなると「言葉の聞き取りが低下」「聞きたい人の声を分けて聞く能力が落ちる」のです。
これらの原因は、活性酸素が引き金になっていると考えられています。活性酸化を処理しているのですが、それが処理しきれず酸化ストレス状態になると内耳に蓄積してしまって障害が起こるのです。
その活性酸素を発生させて内耳にストレスを加えるのが、「騒音暴露」「喫煙」「飲酒」「動脈硬化・肥満・糖尿病などの生活習慣病」などです。大きな騒音は、仕事の現場では「騒音性難聴は予防しましょう」と、規定ができているので、ある程度予防はできています。
ところが、最近増えてきているのは「ヘッドホン難聴」。若者がよく使うようになり、その世代が高齢になると「より早く加齢性難聴がでてくる」「重症で出てくる」と心配されています。このことはしっかり認識しておいてください。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)

