「加齢性難聴」に限らず「難聴」は社会生活に大きな影響を及ぼします。その影響とは「認知症」「うつ病」などで、前回は加齢性難聴と認知症の関係にスポットをあてました。今回はうつ病にスポットをあてます。

加齢性難聴は「社会的孤立」や「不安」などの要因となり、その状態から「うつ病」という言い方をしているケースが多いのです。しかし、ここは「まずは、抑うつ状態に陥りやすくなる」、という言い方がより的確だと思います。そして、抑うつ状態を放置していると、それが進行してうつ病になるのです。

難聴者は非難聴者に比べ、抑うつ状態の発生率が1・4~1・5倍になっている、という研究報告も発表されています。その抑うつ状態を具体的に紹介しましょう。

抑うつ状態とは、「何となく人と話したくなくなる」「人との交わりを絶ってしまう」。さらに、「何事にもやる気がでなくなってしまう」。つまり、これまでは新しいことにチャレンジしてきたのに、それができなくなってしまう。このような状況が生まれてくるのです。これがもっと進行すると、閉じこもりのような状態にもなりかねない、ということです。

実際、難聴の方は「社会的孤立が大きくなる」と言われています。難聴の方は、認知症に加え、「社会的孤立が大きくなった先に待ち受けているうつ病。これも早期に対応すべき」ということをしっかり認識しておくことが重要です。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)