私は日本人のことがとても好きです。なぜなら日本人は親切で行儀よく、とても勤勉だからです。スポーツ選手も性格の良さが顔に表れています。しかし、そのような優しさは、勝利を競うときの手助けにならない気がします。

 私は欧州で長年、日本人選手の写真を撮ってきました。その中で勝利を手にできず、失敗した例をたくさん見ました。そこには競技を義務的に行うだけで、より深い信念というものが、多少欠けているように思えます。

 ここ平昌(ピョンチャン)でも同じです。選手はかなりハードな練習をこなしているものの、本番で決定的なものが足りないように見えます。選手が叫び、怒り、競技の前に自分自身に活を入れるようなところを、私は見たいものです。

 2年後には東京オリンピック(五輪)が開催されます。その時こそサムライスピリットが、日本人選手に浸透していなければならないでしょう。それが五輪の表彰台の、より高いところを目指す小さな1歩となることでしょう。【パオロ・ヌッチ】

 ◆パオロ・ヌッチ 1966年、イタリア生まれの51歳。12歳でカメラを始め、17歳で地元サッカーチームを撮影し、小さな新聞社に掲載される。2年後、大手新聞社や雑誌でフリーランスとして活動を始める。99年から日刊スポーツのカメラマンとして、ペルージャの中田英寿を撮影した。その後、セリエAで活躍する多くの日本人選手やワールドカップを取材。五輪は夏季は04年アテネ大会、冬季は14年ソチ大会から連続で取材中。