小雨が降るバンクで笠松信幸が、1着で1予9Rを突破した。橋本優己の先行を差しての1着だったが、笑顔控えめのベテランらしいインタビューだった。「落車の影響(函館オールスター、落滑入)もなくなっていい感じ」と手応えもつかんだようだ。今節は地元開催とあって、最低限でも決勝に乗りたいところだ。

彼はマーク追い込みで頑張っているが、一朝一夕で今の立場を築いたわけではない。高い授業料(落車や失格、競り負けなど)を払って今の地位がある。そこに彼なりの基準があり、譲れないところでは己を貫く。競輪に対して愚直なほど向き合っていると感じる。

現役時代、笠松の自力に歯がゆくて、何度も叱ったことがある。返しがないので“のれんに腕押し”みたいに終わるのだが、今思うと、彼は責任感が強いので、自由にやらせた方が持ち味を発揮できたのではないだろうか。時を経て、無口な性格が重みにつながっているように感じる。

ヤマコウは2予12Rの笠松信幸に焦点を当てた
ヤマコウは2予12Rの笠松信幸に焦点を当てた

彼はもともと脚力もあったが、決して突き抜けた力があったわけではない。その中で進化し、競りも辞さない貴重なマーク選手として、中部地区を引き締める役割を担っている。前を走る選手、特に追い込み選手の方が笠松に敬意を払っているように感じる。

2予12Rは志田龍星の番手だ。笠松は決して派手ではないが、常に前の選手が走りやすい気遣いをしている。初日のインタビューには、追い込み選手の矜持(きょうじ)があふれていた。(日刊スポーツ評論家)