香妻陣一朗(24=フリー)が、上位争いに急浮上した。39位から出て6バーディー、1ボギーの67で回り、通算5アンダーの139で首位と6打差10位。今週の女子ツアーを休養する姉琴乃(26)が2日連続で応援に駆け付け、マッチプレーを除けば5戦ぶり予選通過となった。現在賞金ランク69位。残り2日間で、来季賞金シード権確保(65位以内)と大逆転の初優勝をかける。
心強い味方が、香妻の背中を押した。観衆の中に、2日連続で、そっと見守る2歳上の姉琴乃の姿があった。イーブンパーの39位から出て、得意のパターでスコアを伸ばし続ける。インスタートの13番で3メートル、14番で6メートル、15番では1メートル半を沈めて3連続バーディー。18番パー5では、グリーン下段から8メートルの長いバーディーパットを入れた。
「グリーン上は一番、自信があります。今年はずっと良くなくて、ドライバーが左に行って、それを嫌がると右に行く感じでした。変なイメージになって、本当は、今週も自信がなかった。こんな感触は久しぶり。楽しみですね」
悩んでいた頃、同じ鹿児島出身で、幼少時代から仲のいい出水田(いずみだ)が8月にツアー初優勝。姉琴乃も9月にプロ8年目での初優勝を飾った。「次はお前の番だぞ」。周囲の声が、重圧になった。
「焦りは自分ではないと思うんですけど‥。『お前も勝てる』って言われますが、勝とうと思って勝てるなら、もう勝ってるし。でも姉ちゃんが優勝した時は、母親が電話で泣いているから僕も泣いていました」
39位から10位に急浮上。首位とは6打差だ。姉琴乃は「弟には弟のタイミングがある。私も同級生が勝っているのに、勝てない時期があったから。自分のペースで常にベストを尽くせばいい」と、弟にかかる重圧を思い、優しく言った。
賞金ランクは69位。17年から保持する賞金シード権を守るには踏ん張りどころだ。香妻は「優勝もシードのことも考えても仕方がない。とりあえず何も考えずにやる」。残り2日。無心で走り続けた先に、喜びがあって欲しい。【益子浩一】

